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アフロビートからアフロクラシックビートへ ムイワ・クンヌジ [西アフリカ]

Muyiwa Kunnuji & Osemako  A.P.P..jpg

フェラ・クティ最晩年のエジプト80に加入したトランペット奏者、ムイワ・クンヌジ。
フェラ・クティ存命中に録音は残せなかったようですけれど、
エジプト80を引き継いだシェウン・クティのデビュー作と2作目に、
ムイワの名前がクレジットされていて、シェウンとともに来日もしています。

15年近く在籍したエジプト80をやめ、
ムイワ・クンヌジは14年にフランス人の仲間とともに、
自己のバンド、オセマコを結成し、活動を始めました。
今回出た2作目で、ぼくは初めてムイワ・クンヌジの存在を知ったんですけれど、
すでに6年前、16年にデビュー作を出していたんですね。

バックアップ・ヴォーカルの女性を除き、メンバーは全員白人ですが、
本格的なアフロビートを繰り広げていて、
さすがバンマスがエジプト80で鍛えられただけのことはあります。

ムイワは、オセマコで目指すサウンドについて、
アフロクラシックビート AfroClassicBeat を標榜しており、
フェラ・クティ直系のアフロビートを軸に、ハイライフやジュジュ、
さらに南アのマラービや、コンゴのルンバを取り入れていると語っています。

それは、今作のオープニング曲 ‘Bro Hugh’ にはっきりと打ち出されていて、
いきなり飛び出すホーン・リフはマラービなのに、メロディはハイライフという不思議さ。
ブレイクをはさんでスークースのギター・リフとともに、曲が進行します。
アフロビートはウッド・ブロックが刻むリズムに、かろうじて痕跡があるかなといった案配。
あまたあるアフロビート・バンドからは、
ちょっと聴くことのできないユニークなアレンジですねえ。

2曲目の‘Oshelu’ は、ど直球のアフロビートながら、
2台のギターの絡みや、ヴィブラフォンとの絡みなどに、
ジュジュの影響がうかがえますね。
4曲目の‘Recipe Of Death’ のムイワの歌い口にも、
ジュジュのエッセンスを感じさせます。

驚いたのは、‘G.O.A. (Giant Of Africa)’。
この曲は、シェウン・クティの“FROM AFRICA WITH FURY: RISE” の
LPのみに、ボーナス・トラックとして収録されていた曲。
CDには未収録で、2枚組LPの最終トラック、D面2曲目に入っていた曲です。
あの曲がムイワ・クンヌジ作だったとは、知らなかったなあ。

新たにアフロビートの可能性が切り拓かれたのを
実感させられるアルバムで、今後の展開も楽しみです。

Muyiwa Kunnuji & Osemako "A.P.P. (ACCUMULATION OF PROFIT & POWER)" OfficeHome OH005CD (2022)
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