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サウンドの領域を広げた新作 サムスクリュー [北アメリカ]

Thumbscrew  MULTICOLORED MIDNIGHT.jpg

メアリー・ハルヴァーソンのノンサッチ2作品は、ぼくには不満が多く、
ちまたの絶賛ぶりに、首をかしげております。
メジャーのノンサッチから出たから、ホメてるだけなんでは?
ま、それは邪推だろうけど、あいかわらず世間とソリが合わないよな。毎度のことだけど。
そんなこんなで、待ち望んでいたのは、サムスクリューの新作の方。
ハルヴァーソンとベーシストのマイケル・フォーマネック、ドラマーのトマス・フジワラが
12年に結成したサムスクリューは、もう活動歴10年。本作で7作目を数えます。

活動歴の長さがもたらす相互信頼が、奔放な即興を生み出した、聴き応え十分のアルバム。
う~ん、こういうのが聴きたかった。
メンバーそれぞれが書いた緻密な構成を持つコンポジションを、
緊張と弛緩を繰り返しながらプレイする、集中力の高さがスゴイ。

ハルヴァーソンが、常に予想の斜め上を行く即興を繰り出し、
DL4使いのピッチ・モジュレーション・エフェクトが、難解なメロディに並走して、
雄弁なラインを奏でてます。もう、ヴォキャブラリーの豊富さに圧倒されますよ。

今回の新機軸は、フォーマネックが操るエレクトロニクス。
フォーマネックは、コントラバスに接続したエフェクトでトリッキーなサウンドを生み出し、
ハルヴァーソンのピッチ・モジュレーションと相乗効果をもたらしています。
また、フジワラがヴィブラフォンが演奏しているのも、聴きどころ。
以前、アンソニー・ブラクストン・プロジェクトでも、
フジワラはヴィブラフォンを演奏していましたけれど、
サウンドに新たな色彩を加えていて、トリオの音楽性を拡張しています。

10年の活動を経て、サウンドの可能性を模索し続けている、
三人の新たなチャレンジが聴き取れる快作です。

Thumbscrew "MULTICOLORED MIDNIGHT" Cuneiform RUNE485 (2022)
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