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精巧なジャズ作品 マルタ・サンチェス [南ヨーロッパ]

Marta Sanchez  SAAM.jpg

だまし絵のような複雑なハーモニーが生み出す快感。
マドリード出身、ニュー・ヨークで活動するピアニストで
作曲家のマルタ・サンチェスが昨年出したアルバム、すげー、いい。

マルタの左手とドラムスがポリリズムを巻き起こし、
2台のサックスが対位法を交差させながら、
ギザギザしたラインを奏でていく。う~ん、メチャ好みのコンポジション。

メランコリックなメロディからスタートする曲が多いんだけれど、
そのあとアブストラクトに展開していくので、
一口目の甘さがひっぱられなくて、後に残らないところがいいんだな。
甘ったるいメロディに支配されたコンポジションが苦手なので、
マルタが書くような構成は、スゴイぼく好みなんです。

内省的なバラードあり、サックスが悲痛な叫びをあげる曲あり、
さまざまな感情を織り成す楽曲から成っていて、
マルタはそれぞれにメッセージを込めているんでしょうね。
異なるムードのコンポジションには、細密なテクスチャーが積み重なっていて、
豊かな質感を持っているのと同時に、それを表現するメンバーのエネルギーが、
マルタの心の痛みを描写しているように感じます。

カミラ・メザが歌う曲が1曲あり、アンブローズ・アキンムシーレがトランペットを
吹いているんですけれど、これもとても美しい。
これほど精巧に作られたジャズ作品も、なかなかないですよ。

Marta Sanchez "SAAM (SPANISH AMERICAN ART MUSEUM)" Whirlwind Recordings WR4784 (2022)
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