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後味さっぱり、さわやかサナート エフルゼ [西アジア]

Efruze  ASSOLİST Ⅱ MEŞK-İ MÜREN.jpg

すっかりご無沙汰していた、トルコの大衆古典歌謡サナート。
20年のデビュー作は、トルコの懐メロをサナートのスタイルで歌っていたそうで、
ぼくはそのアルバムは聴いていないんですが、
ゼキ・ミュレンのレパートリーを歌った新作もまた、
サナート一色のアルバムとなっています。

小編成伴奏の古典歌謡のシャルクから、
大編成の大衆古典歌謡のサナートに変質して大スターとなった、
ゼキ・ミュレン往時の録音は、ケレン味たっぷりでヘキエキするんですけれど、
本作に、ゼキ・ミュレンのイヤらしさはありません。
シャルクを歌っていた若い頃のゼキは好きですけれど、
大歌手ともてはやされた時代のゼキは、美空ひばりと映し鏡に見えます。

過剰な演出を排して、丁寧に歌うエフルゼの歌いぶりが好ましいですね。
細やかなメリスマ使いなど、歌唱力はもちろん確かな人ですけれど、
そうした技巧を全面に出すことなく、素直にノビノビと歌っています。
メロディを崩したりしないところも、この人の実直さを感じさせますね。

伴奏も、ウードやカーヌーン、クラリネットの響きを生かしたヌケのいいアレンジで、
優雅な古典歌謡の味わいを醸し出していますね。
オーケストレーションが大仰になることもないので、とても聞きやすいですよ。

ゼキ・ミュレン作詞作曲のほか、オスマン帝国時代の作曲家
デデ・エフェンディ(1778-1846)、K・アリ・ルザ・ベイ(1881-1934)の曲に、
トルコ共和国となってからの作曲家アヴニ・アニル(1928-2008)の3曲を含む全9曲。
後味さっぱり、さわやかなサナート・アルバムです。

Efruze "ASSOLİST Ⅱ MEŞK-İ MÜREN" DMC DMC105150 (2022)
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