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サンバ究極のノスタルジック・サウンド コンジュント・コイザス・ノッサス [ブラジル]

Conjunto Coisas Nossas  NOEL ROSA - INÉDITO E DESCONHECIDO.jpg

エルドラード祭りが続いています。
その昔、夢中になって聴いたエルドラードのアルバムを引っ張り出して、
いろいろ聴き始めたら、止まらなくなってしまいました。
ブラジル音楽の深みにハマっていた80年代のぼくにとっては、
忘れられないレーベルです。
レーベル発足当初は、輸入代理店の取扱いがなくて日本に入荷せず、
ブラジルに勤務する知人を通して手に入れるなど、苦労したものです。

今回お話ししたいのが、ノエール・ローザの音楽を、
20~30年代当時のままに再現した、コンジュント・コイザス・ノッサスの2作目。
そのいにしえのサウンドをよみがえらせた演出には、驚かされました。
ジェフ・マルダーの75年作 “IS HAVING A WONDERFUL TIME” を
ホウフツとする内容で、いっぺんでトリコになりました。

76年に結成されたコンジュント・コイザス・ノッサスは、
若き日のエンリッキ・カゼスが初めてプロ入りしたリオの若手グループ。
女性歌手のカン高い声や、コミカルな男性歌手の歌い口など、
ラジオが普及する以前の、劇場で音楽が楽しまれていた時代を見事に表現しています。
その徹底したノスタルジア趣味は、筋金入りでした。

エルドラードから83年に出た2作目は、
ノエール・ローザの未発表曲を題材に、
ノエールが生きた時代のリオを再現しています。
コンジュントの7人に加え、大勢のコーラスや管楽器アンサンブルほかの
ゲスト多数を加えていて、クラリネットのネチーニョ、パウロ・セルジオ・サントス、
7弦ギターのルイス・オタヴィオ・ブラガといった名手が参加。

ストライド調のピアノや、古式ゆかしいドラムスのハイハット音、
バンジョーのリズム、優雅なホーン・アンサンブルなど、
100年前にタイム・スリップするかのよう。

‘Espera Mais Um Ano’ では、ノエール自身が歌うSP録音から、
コイザス・ノッサスの演奏にシームレスにつながる粋な演出があったり、
ノエールとイズマエール・シルヴァが共作してフランシスコ・アルヴィスが歌った
‘Quem Não Quer Sou Eu’ では、
なんとイズマエール・シルヴァがギター弾き語りで、
最初のヴァースを調子はずれ(ジザフィナード!)に歌うという
サンバ・ファン悶絶のサプライズもあります(これいつの録音なんだろう?)。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-01-17
いやぁ、ひさしぶりに聴きましたが、タメ息が出るばかりの名作ですよ。

Conjunto Coisas Nossas  1st CD.jpg   Conjunto Coisas Nossas  2nd CD.jpg

最後に、このアルバムは、何度もCD化されていますけれど、
遺憾なことに、‘A.B. Surdo’ で音揺れを起こす箇所があります。
マスターテープが不良のようで、2度目のCD再発時も修正されず、
3度目のヴァディコのアルバムとの2イン1でCD化されたさいに、
一部は直りましたが、修正しきれていない箇所が残っています。

Noel Rosa & Vadico.jpg

オリジナル盤を探すのも、さほど難しくなさそうだから、
LPで聴くのをおすすめします。LPはゲートフォールド・ジャケットで、
中にブックレットが付いて貴重な写真・解説が満載ですよ。

[LP] Conjunto Coisas Nossas "NOEL ROSA - INÉDITO E DESCONHECIDO" Estúdio Eldorado 79.83.0408 (1983)
Conjunto Coisas Nossas "NOEL ROSA - INÉDITO E DESCONHECIDO" Eldorado 584.091
Conjunto Coisas Nossas "NOEL ROSA - INÉDITO E DESCONHECIDO" Eldorado 278135
Noel Rosa & Vadico "SUCESSOS EM DOBRO" Eldorado 924041
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