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リリカルにして精悍 エイヨルフ・ダーレ [北ヨーロッパ]

Eyolf Dale  THE WAYFARERS.jpg

息も凍りそうな冬空の下で、両手を広げ、深呼吸したくなるようなすがすがしさ。

ノルウェイのピアニスト、エイヨルフ・ダーレの新作のオープニングに、破顔一笑。
ハープシコードの親戚みたいな鍵盤楽器ハンマースピネットや、
ベーシストが弾くソーをオーヴァーダブしたサウンドが、
北欧ジャズの特徴が陰影ばかりではない、北国独特の明るさをもたらしています。

エデイションからの5作目となる新作は、
21年に出した前作“BEING” に続くピアノ・トリオでの第2作。
前作から引き続き、ベースのペア・ザヌッシ、
ドラムスのアウドゥン・クライヴェの3人で演奏しています。

ノルウェイのフォーク・ジャズらしい牧歌的なメロディをたたえながらも、
ロマンティシズムに傾きすぎないビターな味わいがあって、いいですね。
豊かな陰影のあるスローな曲で、情感のある抒情をたっぷりと聞かせる一方、
リズム・セクションがアグレッシヴに攻める曲もあって、
シャープでスリリングな展開を楽しめます。

ピアニストだけでなく作編曲者としての魅力が発揮されたアルバムで、
『旅人』というタイトルが示すとおり、旅程でのさまざまな場面を描いた
映像的な着想が、アルバムに起伏を与えているのを感じます。
1曲1曲が簡潔にまとめられているのも、
演奏家であるとともに作編曲家である思慮深さがうかがえますね。
リリカルにして精悍という、
北欧ジャズに期待するすべてが備わっているアルバムです。

Eyolf Dale "THE WAYFARERS" Edition EDN1212 (2023)
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