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新世代南ア・ジャズの旗手 ボカニ・ダイアー [南部アフリカ]

Bokani Dyer  RADIO SECHABA.jpg

ボカニ・ダイアーの新作は、彼がこれまでに吸収してきたさまざまな音楽を、
洗いざらい披露してみせたといった感じかな。
いや、それだけじゃないな。
ボカニ自身のヴォーカルを全面的にフィーチャーするという新たな冒険も加えて、
ものすごく多面的なアルバムに仕上がりましたね。

ボカニ・ダイアーのバイオは、11年の2作目を取り上げた時に書いたので、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2016-11-22
ここでは省きますが、本作は、その後ボカニが参加したマブタで示した
グローバルな新世代ジャズをさらに前進させたものとなっています。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-05-06

ボカニが20年にパンデミックのロックダウン下で発表した “KELENOSI” では、
エレクトロニックな表現を大胆に取り入れ、ロバート・グラスパーの影響色濃い
アコースティックとエレクトロニクスのテクスチャーを聞かせていましたけれど、
今回はボカニ自身のヴォーカルを乗せたことで、より雄弁になりました。

南ア国民を裏切ってきた指導者への怒りをツワナ語で歌った ‘Mogaetsho’、
‘Move on’ ‘State Of Nation’ の2~4曲目は、
R&B/ヒップ・ホップ色濃いトラック。
前半はグローバル・ジャズの影響の色濃いトラックが並びますが、
中盤から、南ア独特のヴォーカル・ハーモニーを聞かせる曲が登場します。
ボカニの妹シブシシウェ・ダイアーとともにツワナ語で歌う ‘Tiya Mowa’ や、
‘Ke Nako’ ‘Spirit People’ ‘Amogelang’ といったトラックですね。

‘Ke Nako’ は、20年に出された南ア・ジャズのコンピレーション “INDABA IS” の
オープニング曲の再演で、コンピレでは6分50秒あった演奏がこちらは4分39秒と、
トランペット・ソロが始まったところでフェイド・アウトしてしまうのが、なんとも残念。
本作はコンパクトにまとめたトラックが多いんですが、
ステンビソ・ベングのトランペット、リンダ・シカカネのサックスなど、
耳を引き付けるソロも随所で聴くことができます。

アルバム・ラストの ‘Medu’ は、ボカニは作曲のみで、演奏には参加していないインスト曲。
南アらしいレクイエムを思わせるホーン・アンサンブルのメロディに、グッときます。

Bokani Dyer "RADIO SECHABA" Brownswood Recordings BWOOD0304CD (2023)
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