ミナスの変拍子ジャズ ダヴィ・フォンセカ [ブラジル]
すごい、すごい、という噂は耳にしていたけれど、
フィジカルが手に入らず、いつもの悪いクセでずっと聴かずにいた、
ミナスのピアニスト、ダヴィ・フォンセカのデビュー作。
ダヴィ・フォンセカ本人所有のストック分を放出してもらったという、
レアな逸品を入手することができました。
いかにも自主制作らしい凝ったパッケージで、
クリーム地にデザインされた封筒の下にある切り取り線をピリピリと破ると、
グレーのスリーブ・ケースが出てきて、
なかに透明オレンジのCDスリム・ケースが封入されています。
ピアノとヴォーカルのダヴィ・フォンセカのほか、アレシャンドリ・アンドレスのフルート、
アレシャンドリ・シルヴァのクラリネットに、
ヴィブラフォン兼ビリンバウ、ベース、ドラムスという6人編成。
ゲストにアコーディオンのラファエル・マルチーニ、
ギターのフェリーピ・ヴィラス・ボアス、
ヴォーカルのモニカ・サウマーゾという面々で、
今のブラジルのジャズ・シーンに注目する人なら、最高のメンバーでしょうが、
個人的には相性のあまりよろしくない人も多く、やや心配。
ですが、のっけのビリンバウとパンデイロのイントロから始まる変拍子曲で、
はや白旗降参しちゃいました。
何拍子だ、これ?と思わず指折り数えちゃいましたよ。17拍子かな?
7拍子のパートもあって、行ったり来たりするんですよ。うわぁ、難度高っ!
ミナスらしい美しいハーモニーのなかに、異物感のある不協和音を混ぜたり、
主旋律と対旋律を楽器を変えながら動かすポリフォニーの使い方など、
アンサンブルを自在に動かすめちゃ高度なコンポジションが圧巻。
一方、ヴォーカルのメロディは素朴なペンタトニックだったり、
シンプルに聞かせるところがミナスらしくて、ワザありコンポーズですねえ。
変拍子ばかりでなく、ポリリズムも多用されていて、
端正にさらっと演奏しているんだけど、複雑な仕掛けがあちこちに施されているという、
なんだか知的ゲームのような音楽です。
全曲変拍子というヘンタイぶりと、スリリングなリズム・ストラクチャーなど、
エルメート・ミュージックと比肩するプログレッシヴなブラジリアン・ジャズですね。
Davi Fonseca "PIRAMBA" Savassi Festival no number (2019)
2023-06-29 00:00
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