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7年ぶりのフラニ・ロック バーバ・マール [西アフリカ]

Baaba Maal  BEING.jpg

バーバ・マール、7年ぶりの新作。
硬質な声としなやかさに欠ける歌いぶりが、
どちらかというと苦手なタイプなんですが、
ロック寄りのプロダクションに乗ると、その個性ががぜん光る人なんですよね。
で、新作はそのバーバの持ち味が生かされた作品に仕上がっています。

前作 “THE TRAVELLER” 同様、ヨハン・ヒューゴのプロデュース。
今回も曲はすべてバーバとヨハンとの共作です。
スウェーデン人DJのヨハン・ヒューゴは、フランス人DJエティエンヌ・トロンと
ロンドンでレディオクリットというDJデュオで活動するほか、
マラウィ人シンガーのエサウ・ムワンワヤを加えた
アフロ・エレクトロ・ユニットのザ・ヴェリー・ベストでの活動で知られる人。

バーバとはリミックス・ワークをきっかけに出会い、
意気投合してコラボするようになったとのこと。
前作は、詩人レム・シサイのポエトリーをフィーチャーした終盤の2曲が
違和感ありすぎで好きになれなかったけれど、今回はOK。

ホドゥ(*)やギターなどの弦楽器やパーカッションなどの生音と
プログラムされたエレクトロな音とのバランスもよく、
割り切りのいいタテノリのトラップ・ビートにも、
しっかりとアフリカらしいグルーヴが息づいています。
直情的なバーバのヴォーカルの声の強さも、
69歳という年を考えると、驚異的ですね。
*ホドゥとはンゴニと同じ弦楽器で、フラニ語の名称。
ウォロフ語ではハラムと呼ぶ。バーバ・マールはフラニ系のトゥクロール人。

フィーチャリングされるゲストは、ザ・ヴェリー・ベストのエサウ・ムワンワヤに、
モーリタニアのプール人ラッパーのパコ・レノール、そしてバーバの姪っ子というルジ。
このルジの歌声が素晴らしいんです。プロの歌手じゃないそうですが。

ラストの9分近い ‘Cassamance Nights’ は、
瞑想的でメランコリックな美しさに溢れた曲で、
なんとも良い余韻を残します。
これは、バーバ・マールひさびさの快作じゃないでしょうか。

Baaba Maal "BEING" Marathon Artists MA0381CD (2023)
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