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限界点を超えて バントゥー [西アフリカ]

Bantu  WHAT IS YOUR BREAKING POINT.jpg

アデ・バントゥ率いる13人編成アフロビート・バンド、バントゥーの新作が到着。
17年の “AGBEROS INTERNATIONAL” に始まる3部作の完結編で、
20年の “EVERYBODY GET AGENDA” 以来3年ぶりのアルバムです。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-10-14

前作のアフロビートたらしめるレベル・ミュージックとしての強度に
感じ入ったんですけれど、今作でもそのエネルギー量は変わっていませんね。
ナイジェリア社会の不正義に立ち向かう姿勢を鮮明にした曲がずらり並び、
アフロビーツのかりそめの華やかさに隠匿された、
ナイジェリア社会の矛盾を鋭く歌っています。

バントゥーの演奏力の確かさは定評のあるところで、
かつては洗練されすぎたアレンジが、かえってアフロビートのエネルギーを
減じていたキライがありましたけれど、今作では洗練されたハーモニー・センスを、
ホーン・セクションを含むバンドの熱量とうまくバランスさせているのを感じます。

‘Africa For Sale’ でのアクースティック・ピアノの使い方など、その典型。
アフロビートでピアノをこんなに華やかに鳴らすのは、
不釣り合いとなりそうなのにそうさせないのは、
楽曲の巧みな作りがリッチなハーモニーの展開を促しているからでしょう。
エネルギーの放出一辺倒でない曲作りの上手さも、今作の聴きどころです。
アフロビート定型から離れたコンポーズの ‘Your Silence’ も新鮮ですよ。

作曲のクレジットにバンド・メンバー全員の名が並ぶのは、
スタジオで顔を突き合わせながら曲をまとめあげているからなんでしょうね。
サウンドのキー・パーソンは、
トランペット奏者オペイェミ・オイェワンデのホーン・アレンジと
鍵盤奏者ババジデ・オケベンロの二人かな。

‘Na Me Own My Body’ では、コネチカット出身のフィメール・ラッパー、
アクア・ナルをフィーチャー。
なんでもアクア・ナルは、最近ケルンに移住したんだそうです。
レゴスでレコーディング、ケルンでミックス、アトランタでマスタリングした力作です。

Bantu "WHAT IS YOUR BREAKING POINT?" Soledad Productions 04517 (2023)
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