SSブログ

ギター・ミュージックの可能性 オリ・ヒルヴォネン [北ヨーロッパ]

Olli Hirvonen  Displace.jpg

ブルックリンを拠点に活動するフィンランド人ギタリスト、オリ・ヒルヴォネンが来日。
最新作 “KIELO” のレコーディング・メンバー、マーティ・ケニー (b) と
ネイサン・エルマン=ベル (ds) とのトリオのライヴを、
9月21日代官山「晴れたら空に豆まいて」で観てきました。

圧巻のギター・ミュージックでしたねえ。
クリーンなギターのトーンは、どんなに激しくカッティングしようが、
きらめくような美しさがあり、北欧の大自然を連想させる
雄大さと深淵さが伝わってきて、圧倒されました。
新作のフィンランドのフォークから着想を得た曲で、それは特に発揮されていましたね。

シングル・トーンからコード・ソロそしてリズム・カッティングへと、
自在にソロ・スタイルを変化させながら弾き倒す、オリのリズム感がスゴかった。
リズムにブレが寸分もなくて、正確無比。トレモロを多用するんだけれど、
音の均整が素晴らしくて、どんだけ練習すればあんなギターを弾けるんでしょうか。

4拍子と6拍子が何度もスイッチしたり、変拍子も多用しながら、
曲中に何度もギアを入れ替えて、瞬時にリズムを変化させるアンサンブルも見事でした。
14年にこのトリオを結成して、すでに10年近い活動歴を持つという、
3人の息の合い方が完璧。ネイサンのしなやかなドラミングが、
曲のスケール感を倍加させるダイナミズムを発揮していましたよ。
シンプルなドラム・セットを使い、ドラミングで歌わせるのが得意なドラマーなんですね。

ユニークだったのが、マーティ・ケニーがベースを弾かずにギターを使っていたこと。
開演前に、ベース・アンプにギターが繋がっていて、???と思っていたんですが、
エレクトリック・ベースの奏法でギターを弾いていて、こういうベースもあるんですねえ。

オリは11年にニュー・ヨークへ渡り、13年にマンハッタン音楽学校で修士号を取得、
16年にモントルー・ギター・コンクールで優勝し、
審査委員長のジョン・マクラフリンに賞賛されたギタリスト。
オリのギター・ミュージックには、コンテンポラリー・ジャズ、フォーク、シューゲイザー、
バロック音楽、ノイズ・ミュージックが養分となっているのが刻印されています。

サインを入れてもらった19年作の “DISPLACE” は、
このトリオにルーク・マランツ(p)が加わったアルバムで、
オリのアルバムでぼくが一番愛聴してきたもの。
すでにこの地点から、オリははるかに前進していましたね。
オリの独創的な音楽世界に、ギター・ミュージックの可能性は
まだまだ尽きないことを教えられた一夜でした。

Olli Hirvonen "DISPLACE" Ropeadope no number (2019)
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。