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シカゴのビッグ・テナー フレッド・アンダーソン [北アメリカ]

Fred Andderson Quartet  The Milwaukee Tapes Vol.2.jpg   Fred Andderson Quartet  The Milwaukee Tapes Vol.1.jpg

フレッド・アンダーソン・カルテットの80年ライヴの未発表録音がお蔵出し!
2000年に発掘された時、VOL.1 と題されてはいたものの、
その後続編が出る気配はなく、
まさか23年も経ってから登場するとは予想だにしませんでした。

フレッド・アンダーソン。AACMの創立メンバーの一人で、
ぼくの大好きなシカゴ派フリー・ジャズのテナー・サックス奏者であります。
不遇の時代が長く、AACMのメンバーがヨーロッパに渡ってしまったあともシカゴに残り、
生活のための仕事のかたわらで、ひたすら練習に明け暮れていたという人です。

初のリーダー作を出したのは、78年メールス・ニュー・ジャズ・フェスティヴァル出演時の
ライヴだったのだから、遅咲きもいいところ。だけどそれ以後のイキオイが凄くて、
特に2000年以降、70歳過ぎてから老いてますます盛んにアルバムを出しました。
フレッドは2010年に81歳で亡くなりましたけれど、晩年のレコーディングでも
豪快なサックスのトーンにまったく衰えをみせなかったのは、驚異的でした。

あらためてフレッドの生年をチェックしてみたら、
1929年ルイジアナのモンロー生まれだったんですね。
なるほどあの豪放磊落なサックスのトーンは、
南部魂が注入されていたのかと、遅まきながらナットク。

で、ぼくが一番愛着のあるフレッドのアルバムが、
2000年に出た80年のミルウォーキーでのライヴ録音なのです。
トランペット奏者のビリー・ブリムフィールドとドラムスのハミッド・ドレイクは、
初リーダー作のメールスのライヴでも一緒だったメンバーです。

フレッド節としかいいようのない、大海のうねる大波のようなサックスは力強く、
実にナチュラルで、ギミックなし。フレッドの演奏は即興といってもクリシェが多くて、
フリー・ジャズと呼ぶのにためらいを覚えないわけでもないんですが、
フリー・インプロヴィゼーションでないフリー・ジャズもあるのだ、
と開き直るしかない見事な吹奏ぶりに、聴くたびに胸がスカッとするのです。

今回お目見えした第2集でも、それはまったく同じ。
御大フレッドの脂の乗り切った時期で、
テクニカルなインプロヴィゼーションを披露するビリー・ブリムフィールドとの
個性の違いをクッキリとみせていて、すごくいいバランスなんですね。
まだ二十代だったハミッド・ドレイクのしなやかで、当意即妙なドラムスもカンペキ。

ゲートフォールドの紙ジャケットのポートレイトも美麗で、飾っておきたくなりますね。
ずぅーっとこの音楽を聴いていたい、フレッド・アンダーソンのジャズであります。

Fred Anderson Quartet "THE MILWAUKEE TAPES, VOL.2" Corbett Vs. Dempsey CD101
Fred Anderson Quartet "THE MILWAUKEE TAPES VOL.1" Atavistic ALP204CD
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