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ドラムンベースからクラブ・ジャズへ <BPM> [ブラジル]

BPM  VOL.1.jpg   BPM  URBAN BOSSA VOL.2.jpg

フェルナンダ・ポルトのデビュー作を出したトラーマは、
98年に発足したレーベルで、2000年代のブラジルの音楽シーンをリードしました。
オット、マックス・ジ・カストロ、ジャイール・オリヴェイラなどの
クラブ・ミュージック世代のMPBを送り出す一方、
フェルナンダ・ポルトをリミックスしたDJパチーフィなどによるドラムンベースは、
ドラムンベース専門のサブ・レーベル、サンバロコが出していました。

DJ Patife  COOL STEPS.jpg   DJ Marky  AUDIO ARCHITECTURE 2.jpg
Patife and Mad Zoo  TRAMA D&B SESSIONS.jpg   DJ Markey & XRS  IN ROTATION.jpg

サンバロコから出たDJパチーフィやDJマーキーや
親元のトラーマが出した『ドラムンベース・セッション』、異例のヒットを呼んだ
‘LK’ を収録したDJマーキーとXRSのコンビの初アルバムなどいろいろ聴き返して、
あらためてあの時代のブラジル産ドラムンベースの良さを再確認した次第。

その魅力の底流にあるのは、やっぱりメロディの力だよなあ。
ショーロからサンバの伝統を持つブラジル音楽は、歌ものの強さが違うよねえ。
そんな歌ものの強みを発揮したユニットで忘れられないのが、
ベーシストのジェイサン・ヴァルニと
ギタリストのアンドレ・ブルジョイスが組んだ<BPM>です。

<BPM>の1作目のバック・インレイに、
「MPBにジャングル、トリップ・ホップ、ダブ、アシッド・ジャズ、ハウス、ディスコ、
エレクトロニカを融合したアーバン・ブラジリアン・サウンド」と書かれていますが、
ずばりそのとおりのサウンドが展開されています。

1作目ではアンドレア・マルキー、シモーニ・モレーノ、エドモン・コスタ、
2作目ではパウラ・リマ、マックス・デ・カストロなど大勢のシンガーをフィーチャー。
ナナ・ヴァスコンセロスのビリンバウ、
マルコス・スザーノのパンデイロなどの生の打楽器に、
管楽器のゲストも多数参加して、エレクトロと生演奏を絶妙にブレンドした
ハイブリッドなサウンドを展開しています。

1作目では、バーデン・パウエル、ドリヴァル・カイーミ、カエターノ・ヴェローゾの曲を
取り上げているので、いっそう歌もののニュアンスが強く感じられます。
2作目は2枚組で、「夜」と題されたディスク1は、<BPM>自身のほか、
DJドローレス、ボサクカノヴァ、DJマーキーなどによるリミックス集。
アコーディオンとピファノをフィーチャーした
ノルデスチ・エレクトロなトラックがあったりと、
ここでも生演奏をいかしたエレクトロニック・ミュージックを聞かせていて、
「夜明け」と題されたディスク2ともども、
ジャジーなセンスに富んだメロディアスなトラック揃い。

ドラムンベースにとどまらない、
さまざまなビート・フォームをクロスオーヴァーさせた<BPM>は、
ブラジルにおけるクラブ・ジャズの申し子だったのかもしれません。

<BPM> "VOL.1 NEXT BRAZILIAN VIBE EXPERIENCE" Urban Jungle/MCD World Music MCD109 (2000)
<BPM> "URBAN BOSSA VOL.2" Urban Jungle/MCD World Music MCD110 (2001)
DJ Patife "COOL STEPS - DRUM’N’BASS GROOVES" Sambaloco/Trama T300/523-2 (2001)
DJ Marky "AUDIO ARCHITECTURE: 2" Sambaloco/Trama T004/554-2 (2001)
Patife and Mad Zoo "TRAMA D&B SESSIONS" Trama T006/829-2 (2003)
DJ Markey & XRS "IN ROTATION" Innerground INN003CD (2004)
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