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カーボ・ヴェルデ音楽の今昔 ティティナ [西アフリカ]

Titina Canta B.Leza.JPG   Titina_EP.JPG

ディナ・メディナの“MORNAMENTE” がすっかりお気に入りの今日この頃。
このアルバムを聴きながらあらためて思うのは、
カーボ・ヴェルデ音楽のサウンド・プロダクションが、昔に比べてケタ違いに向上したことです。

カーボ・ヴェルデ音楽が世界に紹介され始めた80年代末頃はといえば、
それはそれはお粗末なプロダクションでした。
当時セザリア・エヴォーラはまだブレイクする前でしたが、
シロウト同然の歌いぶりもトホホなら、プリセットそのまんまの音色で弾いているシンセなど、
稚拙さの目立つがっかりなアルバムが本当に多かったんですよ。

モルナ、コラデイラ、フナナー、バトゥク、タバンカといった多彩なカーボ・ヴェルデ音楽に、
限りない可能性を秘めていることを予感させながら、
その可能性をチープなプロダクションが台無しにしている。
そんな印象が強く、全編アクースティックで演奏するだけでも、
比べものにならない仕上がりとなるだろうにと歯ぎしりしたものでした。

そんなわけで、お粗末な歌が出てこないインスト集や、
鍵盤楽器が目立たないアルバムを探し求めていた記憶がありますが、
そんな当時気に入っていたのが、インスト集ではマルチ弦楽器奏者バウのデビュー作、
歌ものではティティナのB・レザ曲集でした。

ひさしぶりにティティナのB・レザ曲集を聴いてみたんですけど、
素朴なプロダクションながら、カヴァキーニョやギターなど弦楽器の生音をいかした作りとなっていて、
鍵盤系の音が控え目なこともあって、今聴いても満足いく仕上がりといえます。
カーボ・ヴェルデを代表する管楽器の名手ルイス・モレイラの泣きのクラリネットや、
アルマンド・ティトのヴィオラをフィーチャーし、
ストリングス・セクションを伴奏に加わえているところも花丸です。

わずか7曲の小品集とはいえ、モルナとサンバを交互に取り上げた選曲の妙も効いていて、
カーボ・ヴェルデの国民的詩人として尊敬され、
30年代に数多くのモルナの名曲を残したB・レザの曲集の、
忘れられない一枚に仕上がっています。

ところで、主役のティティナことアベルティナ・ロドリゲス・アルメイダは、
セザリア・エヴォーラと同郷のサン・ヴィセンテ島の生まれで、セザリアより5つ若い46年生まれ。
6歳から歌い始め、12歳で初舞台を経験し、14歳で初シングルをリリースしています。
この92年のB・レザの曲集が初アルバムで、
ぼくは未聴ですけど、08年になって2作目となる“CRUEL DESTINO” を出しています。

若い頃の録音で、ティティナがおそらくまだハタチ台の60年代のものと思われる、
ドラムスの前でポーズをとっているジャケットのEPを持っているんですけれど、
初期録音のEPを集めたリイシュー作なんて、誰か作ってくれないかなあ。

Titina "TITINA CANTA B. LEZA" Blue Caraïbes 82841-2 (1992)
[EP] Titina "Aviadora / Funha / Firvura / Sabine Lagrame" Alvorada AEP60759
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