マウンテン・ミュージックのつづれ織り アンナ＆エリザベス

いまのアパラチアン・フォークで、ぼくが惚れ込んでいるのがエリザベス・ラプリール。
21世紀のアメリカから、これほど野趣溢れる声が出てくるなんて、予想だにしませんでした。
泥付きの野菜の味わいとでも言いましょうか。
11年の“BIRD’S ADVICE” には感動して、本当によく聴いたものです。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-09-26

そのエリザベスが、アンナ＆エリザベスという新ユニットで活動していたことを、
今回のアルバムで初めて知りました。
すでに12年にコンビ第１作をリリースしていて、これが２作目。
コンビのお相手は、フィドル、バンジョー、ギターをこなすマルチ楽器奏者で、
歌手でもある、ニュー・イングランド出身のアンナ・ロバーツ＝ジェヴォートです。
エリザベスがヴァージニアの伝統音楽をルーツとするのに対し、
アンナはケンタッキーのフィドル音楽を深く学んできた人だそうです。

地域性の違いはあるものの、
二人がマウンテン・ミュージックを愛することに変わりなく、
古くから伝わるバラッド、ソング、ダンス・チューンを歌います。

土臭さいっぱいのこぶし使いで、ディープなノドを聞かせるエリザベスに、
スウィートなハーモニーを加えていくアンナとの好対照な個性が、絶妙な相性となっています。
「太陽と月」または「陰と陽」を示すがごとく、二人が織り成す物語歌は、
上等なつづれ織りを指先で追うような手触りを残します。

Anna & Elizabeth "ANNA & ELIZABETH" Free Dirt DIRTCD0072 (2015)

コメント 2

Bird's Adviceはこちらの記事で知りCDを購入し愛聴しています。
エリザベスの乾いた感じの歌声がとても好みです。
今回のアルバムもとても気になります。探してみます。
by kurisabu (2015-06-30 20:48) 

きっと気に入られると思いますよ。ぜひ聴いてみてください。
by bunboni (2015-06-30 21:12)