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再々復活後のUKツアー・ライヴ マハラティーニ&ザ・マホテーラ・クイーンズ [南部アフリカ]

Mahlathini and the Mahotella Queens  Music Inferno.jpg

88年6月にUK初上陸したマハラティーニ&ザ・マホテーラ・クイーンズは、
時の南ア音楽ブームのイキオイもあって熱烈な歓迎を受け、
翌89年、初の単独UKツアーとなる「ソウェトの不滅のビート」ツアーを敢行して、
大成功となります。そのUK初上陸時から、「ソウェトの不滅のビート」ツアーに至る
ベスト・パフォーマンス15曲が、このたび30年以上の時を経て蔵出しされました。

「さあ、これが本物のソウェト・サウンド、ンバクァンガだ!」という
威勢のいいMCからスタートするこのライヴ盤は、
80年代末に世界的なスターダムに上り詰めたンバクァンガの生の魅力が、
たっぷり捉えられています。
のちに彼らは日本にもやってきて、その強烈なライヴを体験しただけに、
懐かしさでいっぱいになりましたが、本作のライナーを読んでいたら、
世界的な成功までの知られざる紆余曲折が書かれていて、驚きました。

当時、欧米でわき上がったワールド・ミュージック・ブームによって、
サリフ・ケイタやユッスー・ンドゥールなど、アフリカ現地で人気沸騰のスターたちが、
次々とインターナショナルなステージに躍り出ましたが、
マハラティーニの場合は、ちょっと事情が違っていたんですね。

マハラティーニとマホテーラ・クイーンズは、
60年代後半から70年代前半にかけてが全盛期で、
80年代後半においては、すでに過去の存在だったからです。
当時の南ア音楽シーンでは、もはやンバクァンガの時代ではなく、
ソウルやディスコが台頭した、バブルガムの時代に移っていました。

しかし欧米では、往年のンバクァンガの録音を編集した
コンピレーションが盛んに出され、ポール・サイモンの『グレイスランド』が
世界的なヒットを呼んだことが決定打となり、現地で人気のバブルガムではなく、
ンバクァンガに国際的な注目が集まったのです。

Mahlathini & Mahotella Queens ISOMISO.jpg

70年代末にすでに解散していたマッゴナ・ツォホレ・バンドが、
83年にテレビ番組出演のため再結成したことは以前書きましたが、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-11-23
子育てを終えたマホテーラ・クイーンズのメンバーたちも現場復帰して、
再びマハラティーニと新グループのマハラティーニ・ネジントンビ・ゾンカシヨを組んで、
カムバック作 “ISOMISO” を制作しました。
(90年にフランス、セルロイドが、新グループ名義から元の名義に戻してCD化)
その後、マハラティーニとマホテーラ・クイーンズ、マッゴナ・ツォホレ・バンドは、
順調に活動をしていたとばかり思っていたんですが、そうではなかったんですねえ。

ライナーノーツによると、マッゴナ・ツォホレ・バンドが主演していたTV番組は、
85年に突然終了となり、マッゴナ・ツォホレ・バンドは再分裂。
新グループのマハラティーニ・ネジントンビ・ゾンカシヨも解散になってしまいました。
プロデューサーのウェスト・ンコーシが育ててきたレディスミス・ブラック・マンバーゾも、
ポール・サイモンのワールド・ツアーにとられてしまい、
ンバクァンガ・リヴァイヴァルは頓挫してしまったのでした。

Amaswazi Emvelo & Mahlathini  UTSHWALA BEGAZATI.jpg   Amaswazi Emvelo & Mahlathini  INDODEMNYAMA.jpg

ウェスト・ンコーシは事態を打開すべく、マハラティーニを
ンバクァンガ・ヴォーカル・グループのアマスワージ・エムヴェーロと組ませ、
マッゴナ・ツォホレ・バンドのメンバーを呼び寄せて、
フランスのフェスティヴァルに出演したところ、これが大反響を呼んだのだそうです。
アマスワージ・エムヴェーロとの共演に、こんないきさつがあったとは知りませんでした。

Mahlathini and The Mahotella Queens  THOKOZILE.jpg

フランスでのフェスティヴァルでの成功を受け、もう一度クイーンズと再々結成して、
昔のヒット曲を最新ヴァージョンでレコーディングすることをすぐさま企画し、
完成した “THOKOZILE” をひっさげ、87年にヨーロッパ・ツアーを行ったのでした。
ツアーはビザを延長せざるを得なくなるほどの盛況となって、年の暮れまで
ヨーロッパにとどまり、マハラティーニ&ザ・マホテーラ・クイーンズの評判は、
確たるものとなったのですね。
このヨーロッパ・ツアーの成功を受けて、翌年UK初上陸となったのです。

このライヴ盤は、“PARIS - SOWETO” “THOKOZILE” の2作から選曲され、
どれもスタジオ盤をはるかに上回るダイナミックなヴァージョンを聴くことができます。
ヨーロッパ・ツアーを経て、マハラティーニとクイーンズの自信に満ちた歌いっぷりと、
マッゴナ・ツォホレ・バンドのキレのあるタイトなサウンドが最高潮。
80年代のンバクァンガ・リヴァイヴァルを象徴する、名ライヴ盤の誕生です。

Mahlathini and The Mahotella Queens "MUSIC INFERNO" Umsakazo UM107CD
Mahlathini & Mahotella Queens with The Makgona Tsohle Band (Mahlathini Nezintombi Zomgqashiyo)
"ISOMISO" Celluloid 66868-2 (1983)
Amaswazi Emvelo & Mahlathini "UTSHWALA BEGAZATI" Ezom Dabu/Gallo CDGB19 (1985)
Amaswazi Emvelo & Mahlathini "INDODEMNYAMA" Ezom Dabu/Gallo CDGB20 (1987)
Mahlathini and The Mahotella Queens "THOKOZILE" Earthworks CDEWV6 (1987)
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