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ブラジルの出汁が利いたアヴァン・ポップ トゥリッパ・ルイス [ブラジル]

Tulipa Ruiz  HABILIDADES EXTRAORDINÁRIAS.jpg

圧巻! ブラジルの出汁が利いてますねえ !!
サイケ・ロックであったりグランジであったりと、ブラジル音楽のフォームではないのに、
これほど強烈に立ち上ってくるブラジレイロな匂いは、
ブラジル文化が持つしぶとい気質みたいなもんなんでしょうか。

そういえば、こんな圧倒のされかたって、昔も味わったような。
そうだ、ベイビー・コンスエロの79年名作 “P'RA ENLOUQUECER” ですね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2012-06-24
バイーアのアフロ・ブラジル文化が、ロックを見事に換骨奪胎してみせた傑作でした。

トゥリッパ・ルイスというこのアーティスト、
サン・パウロのインディ・シーンから登場した人らしいんですけど、スゴイ才能だなあ。
オルタナ・ロックに縁のない当方の耳にもちゃんと届いたことが、なによりの証明。
ここのところ、インテレクチュアルなブラジル音楽にヘキエキとしていたせいなのか、
こういうガツンとくるパンキッシュな音の方が、刺さるなあ。

トゥリッパのヴォーカルの存在感が、とにかく圧倒的。広い音域をフルに活用して、
オペラティックなヴォーカル表現からグランジ・パンクなシャウトまで自由自在。
気合のこもったナマナマしさがあるから、説得力がハンパない。
こんなところも、かつての奔放なベイビー・コンスエロを思わせるじゃないですか。

そして、アナログ感たっぷりのサウンドにもヤられましたよ。
このアルバム、じっさい8トラックでオープン・リールのテープ録音で
制作されたというんだから、こりゃホンモノだわ。
こういうのを聴くと、ローファイを演出したデジタル録音なんて、
インチキじゃないかという気さえしてくるよなあ。

ペドロ・サーのギター、ペドロの弟ジョナス・サーのシンセ、
トニーニョ・フェラグッチのアコーディオン、さらに御大ジョアン・ドナートが
ローズ、モーグを弾いて、オルタナ、レゲエ、グランジ、ファンキ・カリオカなどなど、
ジャンル横断しまくった全11曲。サンパウロのアヴァン・ポップの快作です。

Tulipa Ruiz "HABILIDADES EXTRAORDINÁRIAS" no label BEM002 (2022)
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