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移民文化しか生み出せないポップス コリンガ [西・中央ヨーロッパ]

Kolinga  LEGACY.jpg

フランスのアンダードッグというレーベル、面白いですね。
誕生からすでに15年も経っているレーベルだそうですけれど、
ぼくは去年、リヨンの4人組ドウデリンのアルバムで知りました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-11-07
フランス移民社会の現実を投影したアーティストたちが
多数所属していて、関心を持ったんです。

アーティストたちの複雑な出自を武器に、ハイブリッドなポップを創作していて、
同化政策のおためごかしや、多文化共生のキレイゴトからは生まれない
強靭さを感じさせるところが、好感をもてます。
ノー・フォーマットとは明らかにレーベルの性格が違いますね。

そんな思いを強くしたのが、コリンガというグループの2作目。
コリンガは、ヴォーカル/ソングライティングのレベッカ・ムブングと
ギターのアルノー・エストールを中心とする6人グループ。
レベッカ・ムブングは、コンゴ・ブラザヴィル出身の歌手の父親と、
コンゴの国立バレエ団に入団した初のフランス白人女性の母親のもとに生まれ、
南フランスで育ったという人。

シングル・マザーとなった母への愛と、
父からは教わることのなかったコンゴの言語や文化を独力で学んでてきたことが、
『遺産』とタイトルの付けられた本作のテーマとなっているようです。
がらっと場面展開する曲が多く、フォーキー、ファンク、R&B、ヒップ・ホップ、ジャズ、
コンゴリーズ・ルンバ、マロヤが、1曲の中でパッチワークになっています。
楽曲が持つ訴求力がすごくて、歌われている内容はわからずとも、
レベッカの自叙伝的な物語がそこに込められているのだろうと想像つきます。

Samba Mapangala  IT'S DISCO TIME.jpg   Samba Mapangala & Orchestre Virunga  VIRUNGA VOLCANO.jpg

意外なカヴァー曲が1曲あって、
サンバ・マパンガラの ‘Malako Disco’ を ‘Mateya Disco’ と改題して歌っています。
この曲は、サンバの母が幼い弟たちの面倒を見るようにと自分に託して死んだことを
歌にしたもので、両親を失ったサンバが学校にも行けず、食っていくことに必死だった
生活を歌った歌詞が、なにかレベッカに刺さるものだったのでしょう。
ナイロビ時代のサンバ・マパンガラがソロ・シンガーとして独立して出した
82年作に収録されていた曲で、90年にイギリス、アースワークスがCD化したので、
原曲を聴くのも容易かと思います。

アルバムのなかで、この1曲だけは
ストレートなコンゴリーズ・ルンバで演奏されていますが、
ほかの曲はかなりヒネリのあるアレンジが施されていて、
ドラムス、鍵盤、ギター、パーカッションのマルチ奏者
ジェローム・マルティノー=リコッティのアレンジがサウンドの要となっています。

Kolinga "LEGACY" Underdog UR838042 (2021)
[LP] Samba Mapangala & Orchestre Virunga "IT'S DISCO TIME" ASL ASLP927 (1982)
Samba Mapangala & Orchestre Virunga "VIRUNGA VOLCANO" Earthworks CDEWV16

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