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悪を取り払うボボの葉っぱ仮面 ババ・コマンダント&ザ・マンディンゴ・バンド [西アフリカ]

Baba Commandant  Sonbonbela.jpg

おーぅ、ミシェル・ユエットの写真!
ババ・コマンダント&ザ・マンディンゴ・バンドの新作ジャケットは、
アフリカの写真集の古典的名作
“THE DANCE, ART AND RITUAL OF AFRICA” の写真から
切り抜いたものですね。

フランス人写真家ミシェル・ユエットのこの写真集は、
高校3年のぼくにアフリカ熱を決定づけた人生の一冊です。
オリジナルはフランスで出た “DANCES D'AFRIQUE” ですけど、
ぼくが買ったのは、アメリカで出版された78年の初版本。
日本橋丸善の洋書売り場で見つけて、強烈な衝撃を受けました。

何十年ぶりかで書棚から取り出したけれど、
この写真が載っているページは、目を閉じてたって開けられるよ(ウソです)。
ブルキナ・ファソの国名がオート・ヴォルタだった時代の、ボボ人の儀式を撮影したもの。
どういうわけだかジャケットは裏焼になっていますが、この全身を葉で覆われた仮面は、
乾季の終わりの農作業が再開される前に行われる、清めの儀式で登場します。

Michel Huet 1.jpg   Michel Huet 2.jpg

ドゥウォと呼ばれる葉っぱの仮面は、夕暮れ時に村にやってきて、
家々や小屋、村の人々をかすめながら、路地を歩き回ります。
仮面が歩くたびに揺れ動きざわめく葉っぱが、1年の間に蓄積されたすべての悪を
葉に吸収させ、村のすべての不純物を洗い取り、村からケガレを取り除きます。

ボボの創造神であるウロから遣わされたドゥウォは、
人間の過ちや罪といった悪を取り払い、人間と神を仲介する役割を果たします。
ボボの哲学では、人間の生存はドゥウォの恩恵を受けることにかかっていて、
その恩恵を受けるために人間は、
自らの傲慢を捨てなければならないと考えられています。

このボボの猟師結社ドンソに属しドンソ・ンゴニを操るのが、
ババ司令官ことママドゥ・サヌです。
15年のデビュー作のローファイぶりに快哉を叫び、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-04-18
アフロビートからドンソ・ンゴニ・ファンクへとシフトした18年の前作は、
ライヴ感たっぷりのサウンドで踊らせてくれました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-11-30

ばたばたとラフに連打されるドラムス、硬くきらびやかな音色のギター、
絡み合うドンソ・ンゴニとバラフォン、粘っこくうねるベース、
粗っぽいヴォーカルが生み出す泥臭さが、も~う、たまんない。
前作がちょっとサウンドが整理されすぎた感があったんですけど、
今作はデビュー作の粗野なエネルギーを取り戻しつつ、
アンサンブルがスケール・アップしていて、これまでの最高作になりましたね。

最後に、ジャケットにはアート・ディレクションとデザイン・レイアウトの
クレジットはあるけど、ミシェル・ユエットの写真借用に関する記載なし。
これ、アカンやろ。

Baba Commandant & The Mandingo Band "SONBONBELA" Sublime Frequencies SF121 (2023)
[Book] Michel Huet "THE DANCE, ART AND RITUAL OF AFRICA" Pantheon Books (1978)
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