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南ア人としての自叙伝 ジョナサン・バトラー [南部アフリカ]

Jonathan Butler  UBUNTU.jpg

ひと月前に南アのウブントゥについて少し触れたばかりですけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2023-12-10
南ア出身のジョナサン・バトラーの新作のタイトルが、なんと「ウブントゥ」。

ジョナサン・バトラーといえば、グラミー賞にもノミネートされた ‘Lies’ でしょう。
あの大ヒット曲が入った87年作 “JONATHAN BUTLER” は
いまでも時折聴き返しますが、どんなに年数が経っても古びませんね。
13年に来日した際にご本人と話をするチャンスがあって、
こんな古いアルバムにサインを頼むのは悪いかなと思ったんですが、
ジョナサン・バトラーはこれ1枚しか持っていないのでした(ゴメン)。

Jonathan Butler.jpg

13歳の初シングルがバート・バカラック作の ‘Please Stay’ で、
その後スムース・ジャズ系シンガー/ギタリストという売り出しで、
若くしてイギリスに進出して成功した人だけに、
正直バトラーに南アの音楽家というイメージはまったくありません。
コンテンポラリー・ポップスの音楽家としか捉えていなかったので、
この新作タイトルは意外でした。

考えてみれば、バトラーはケープ・タウン生まれなんですよね。
これまでのイメージを一新するルーツ回帰作を作ったのかと思いきや、
そんなことはまったくなくて、これまで通り、いつものバトラーなのでした。
プロデューサーがマーカス・ミラーだもんねえ。
ミラーはベース・ソロばかりでなく、ピアノ、ギター、サックス、ドラムスと
さまざまな楽器を演奏して、サウンドメイクをしています。

オープニングは、スティーヴィー・ワンダーの ‘Superwoman’ をカヴァー。
終盤にリズムがレゲトンへスウィッチして、スティーヴィーがゲストで
ハーモニカを吹く趣向は、なかなかにスウィートなアレンジ。
バトラーの声はさすがに年輪を重ねて太くなったとはいえ、
歌い回しが昔とぜんぜん変わっていなくて、まさにバトラー節ですね。

バトラーが弾くナイロン弦ギターによるインスト曲も、
87年作と変わらぬ作風ですけれど、
8曲目の ‘Coming Home’ の主メロに、ほのかな南ア色があります。
ここが今作でゆいいつ南アらしさを感じられたところかな。
歌詞には自叙伝が記されているようですけれど、
サウンドはあくまでも王道ポップス。バトラーらしい作品で、ぼくは好きです。

Jonathan Butler "UBUNTU" Mack Avenue ART7080 (2023)
Jonathan Butler "JONATHAN BUTLER" Jive 1032-2J (1987)
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