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せつな系シャバービーの大名作 アマニ・スウィッシ [中東・マグレブ]

Amani Souissi  WAIN.jpg

寒さ厳しい冬に聴くシャバービーの定番。
チュニジアのアマニ・スウィッシの07年デビュー作です。
ほかの記事でちらっと触れたことはあるものの、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2009-08-27
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2014-02-04
そういえばきちんと取り上げたことがなかったんだっけ。

ハイ・トーンを綿毛のような柔らかさで細やかにコブシを回す技巧。
吐息をもらすかのような息づかいで歌うその歌い口。
つぶやくように歌いながら、絶妙なブレス・コントロールに圧倒されました。
スタッカートの利いた活舌の良さが、バツグンのリズム感を示しています。

はじめてこのアルバムを聴いた時は、ビックリしましたよ。
ぼくの大好きなエジプトの歌手アンガームにもよく似た声質で、
その歌唱力の高さも、アンガームに迫るものがありました。
こんな人がチュニジアにいるのか!ってね。

シャバービーの本場といえば、やはりエジプトやレバノンで、
チュニジアはメインストリームではないので、
アマニも05年にレバノンのテレビ局LBCで放送された
スター・アカデミーに出演して、チャンスをつかんだ人でした。
その後、レバノンの詩人ハリール・ジブラーンに捧げられた戯曲に出演し、
その演劇の音楽はウサマ・ラハバーニが担当していたそうです。

そうしたキャリアを経て、07年にロターナからデビューしたわけですが、
これほど歌える人なのに、その後10年に2作目を出したのみで、
その後アルバムは出ていません。
シングルは最近も出しているようなんですが、
アラブ歌謡のシーンは競争がキビしいなあ。

飛行場の搭乗アナウンスをコラージュしたオープニングのタイトル曲から、
失意のヒロインが旅立つシーンが眼前に立ち上るかのようで、
アマニが歌うドラマに引き込まれます。
ちなみに、サブスクは曲順が変わってしまっているので、ご注意のほど。

全曲失恋ソングかと思うようなせつない曲が満載で、
アマニの歌いぶりがそれに見事にハマった名作。
これほど楽曲が粒揃いのシャバービーはなかなかありませんよ。
シャバービー傑作10選に確実に入るアルバムです。

Amani Souissi "WAIN" Rotana CDROT1315 (2007)
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