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ロマンスィーが持ち味 カティア・ハーブ [中東・マグレブ]

Katia Harb QAD EL-HOB.jpg

アマニ・スウィッシを皮切りに、
昔さんざん楽しんだシャバービーをまたぞろ聴き返しています。

エジプトのアンガームが03年に出した名作 “OMRY MAAK” が象徴的でしたけれど、
2000年代に入って、若者向けのアラブ歌謡のサウンドががらっと変わりましたね。
それまで「アル・ジール」と呼ばれていた若者向けのアラブ・ポップスのジャンル名が
現地でほとんど使われなくなり、シャバービーと呼ばれるようになったことは、
日本では10年遅れくらいで知られるようになりました。

ジャンルの呼び名が変わった情報は、当時まだつかめませんでしたが、
プロダクションの質がぐんと上がり、多彩なサウンドを聞かせるようになったことは、
アラブ諸国から届くCDで十分実感できましたね。
ヴィデオ・クリップが進歩し、衛星放送局開設による
音楽ヴァラエティ番組がアラブ諸国で増えたことによって、
セクシー・アイドルが次々と登場するようになったのも、この頃だったなあ。

レバノンにその傾向が顕著で、
アラブ版スパイス・ガールズと呼ばれたフォー・キャッツを筆頭に、
歌唱力などまるでないお粗末な歌手も乱立することになりました。
そうしたセクシーだけが売りの歌手はやがて淘汰されていきましたけれど、
ヴィジュアルと歌唱力を兼ね備えたアイドルも登場するようになったのです。
その象徴がナンシー・アジュラムでしたね。

個人的には、アップテンポ中心のノリの良いアイドルにあまり興味がもてなかったので、
情感たっぷりにバラードを歌うシンガーをもっぱらひいきにしていました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2009-08-27
アンガームをはじめ前回記事のアマニ・スウィッシなど、
こうしたシンガーを「せつな系」とぼくは勝手に称していましたけれど、
現地ではこうした歌手たちが歌う曲のスタイルを、ロマンスィーと呼んでいたそうです。
ジャンル名ではないそうですが、なるほどその特徴を良く表していますね。

そんなロマンスィーな曲をたっぷり味わえるのが、
レバノンのカティア・ハーブの04年作です。
EMIミュージック・アラビアが出したこのアルバムは、
それまでカティア・ハーブが所属していたレバノンのレコード会社
ミュージック・ボックスのプロダクションとは段違いでした。

メジャーが出すとこうも違うかという、ゴージャスなプロダクションで、
冒頭のしとやかなバラードに胸がきゅんきゅん高鳴ります。
アンガームやアマニほどの歌唱力はないにせよ、
すがるような歌いっぷりに、ゾクゾクすることうけあいですよ。
ウチコミ強めのダンス・トラックでも、アダルト・オリエンテッドなムードが嬉しい。
ジャジーなトラックのクオリティは、今聴いてもぜんぜんオッケーですね。
エンハンスト仕様でヴィデオ・クリップが入っているのも、この当時らしいCDです。

Katia Harb "QAD EL-HOB" Capitol/EMI 07243-597381-0-9 (2004)
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