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R&Bソングライターのメロウ・グルーヴ傑作 マニー・ロング [北アメリカ]

Muni Long  PUBLIC DISPLAYS OF AFFECTION.jpg

涙腺崩壊。

この温かな声。柔らかく耳に絡みついてくる、人なつっこい節回し。
フックの利きまくった楽曲に、90年代R&Bフィール濃厚なサウンド。
ライミングを効果的に使った歌詞が生み出すグルーヴ。
フェイクから溢れ出す狂おしさに、これが泣かずにいられよかというアルバムです。

プリシラ・レネイの本名で、リアーナ、メアリー・J. ブライジ、マライア・キャリー、
アリアナ・グランデなど、R&Bとポップスの双方で、
数々のヒット曲を手がけるソングライターとして活躍するも、
ソロ・アーティストとしてはなかなか成功できずにいたという彼女。
マニー・ロングと改名し、昨年デフ・ジャムと契約して再出発。
プリシラ・レネイ時代から通算19曲目となる ‘Hrs and Hrs’ がついにバズって、
ようやく表舞台へとジャンプした、80年代生まれの苦労人なのですね。

ぼくも昨年 ‘Hrs and Hrs’ が収録されたEPを聴いて、
CD欲しい!と身をよじってたクチだったんですが(フィジカルはLPのみ)、
続編EPと抱き合わせで、さらに新曲を追加した初アルバムがCDリリース!
で、冒頭の涙腺崩壊となったわけなんですが、
ほんとパーフェクトじゃん、このアルバム。

18曲も詰め込んでるのに、飽きがこないのは、1曲1曲のカラーが違うから。
派手にキャッチーなメロディで、曲の一部を浮き立たせる作風ではなく、
曲の流れでじっくり聞かせる力があって、丁寧に情感を伝える楽曲が揃っています。
さすが長年裏方で、ヒット・メイカーのキャリアを積んできた実力者だけあります。

スウィーティーとコラボした ‘Baby Boo’ だけが、ほかと毛色が違っていて、
ベース・ミュージック仕立ての、サマー・アンセムぽい曲。
これをラストに置いたのは、大正解でした。

全編、90年代R&Bのメロウなテイストが覆っていて、
懐かしさいでいっぱいになるんですけれど、それはオッサンの感想。
懐古ネライのアルバムでは、けっしてありません。
ロマンティックなR&B好きにはたまらない、メロウ・グルーヴの大傑作です。

Muni Long "PUBLIC DISPLAYS OF AFFECTION: THE ALBUM" Supergiant B0035943-02 (2022)
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