ロンドンのジャム・バンド エズラ・コレクティヴ [ブリテン諸島]
エズラ・コレクティヴって、ジャム・バンドなんじゃないのかなあ。
そんなこと誰も、言ってないんだけれども。
世間一般では、ロンドンの新世代ジャズ・バンドという紹介の仕方をされてますけど、
ジャズ・バンドという枠に閉じ込めちゃうと、
彼らの豊かな音楽性を狭めちゃうようで、もったいない気がするんですよね。
この曲はアフロビート、この曲はレゲエ、この曲はジャズ、この曲はネオ・ソウルと、
楽曲の性格ごとに演奏スタイルを使い分けているのが、彼らの流儀。
多彩な音楽要素をミックスするのではなく、軸となるスタイルをベースに、
グライム以降の新しいサウンドを練り込んでいくという手法で、
そこにジャズから学び取ったスキルを感じさせます。
ジャズ出身者らしい器用さといってしまえば、それまでだけど、
それが鼻につかないのが、彼らの良さ。
ヒップ・ホップは当然のこと、グライムなどのクラブ・カルチャーが血肉化している
ハイブリッドなセンスは、いかにもロンドンらしいバンドというか、
どうやっても、オシャレになっちゃうような。
19年のデビュー作も気持ちよくって、ずいぶん聴いたけれど、
記事にしたくなる意欲が湧かなかったのは、ヌビアン・ツイストと同じ理由かな。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-08-17
どうもスタイリッシュな音楽って、カッコいいだけで、心が入り込めないというか。
でも、新作で聞かせるリーダーのドラマー、フェミ・コレオソの
トニー・アレンをトレースしたドラミングには、降参しました。
前作でもアフロビート・ジャズを試みていたけれど、今作のは完成型。
さすがにこれは、素直に称賛しなくちゃいかんでしょう。
トニーへのリスペクトが、ちゃんと伝わってきますよ。
たしかこの人、トニー・アレンのドラム・レッスンを受けるために、
パリ通いもしたんだよね。
サンパ・ザ・グレート、コージー・ラディカル、ネイオをフィーチャーして、
コンパクトにまとめた曲が並んだ本作。
セロニアス・モンクのジャケットをパロっちゃうあたりのセンスも含めて、
どこまでもスマート&クールな連中であります。
Ezra Collective "WHERE I’M MEANT TO BE" Partisan/Knitting Factory PTKF3020-2 (2022)
Ezra Collective "YOU CAN’T STEAL MY JOY" Enter The Jungle ETJ006CD (2019)
2022-11-19 00:00
コメント(0)