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セネガルからインターナショナルへ シェイク・イブラ・ファム [西アフリカ]

Cheikh Ibra Fam  PEACE IN AFRICA.jpg

えっ! シェイク・イブラヒマ・ファル?
ジャケットのアーティスト・ネームに、一瞬セネガルのスーフィー教団、
バイファルの活動家(1855–1930)を思い浮かべたんですが、
んなわけない。早とちりでした。

オーケストラ・バオバブでシンガーを務めたこともあるという
シェイク・イブラ・ファムのインターナショナル・デビュー作。
バオバブのアルバムをチェックしてみましたが、その名前は見つからなかったので、
録音は残さなかったようです。コンサート・ツアー・メンバーにその名があるので、
バオバブと世界を回ったのは確かなのでしょう。

アルバム・タイトルの1曲目にビックリ。アフロビーツじゃん。
う~ん、アフロビーツはセネガルにも飛び火してるわけね。
というより、インターナショナル・マーケット狙いなら、
いまや必須のプロダクションなんだろうな。

モータウンに所属したザ・ボーイズの元メンバーで、
シャニースやボビー・ブラウンのリミックスを手がけたハキム・アブドゥルサマドが
アレンジとミキシングを担当しているから、抜かりありません。
ハキム・アブドゥルサマドは、エイコンの06年作 “KONVICTED” のプロデュースや、
ユッスーの19年作 “HISTORY” のエンジニアリングも担当していましたからね。

しかもプロデュースには、シェイク・イブラ・ファム自身に加えて、
ワールド・ミュージックの敏腕マネージャー、ジュリー・リオス・リトルの名もあります。
現在彼女は、シェイク・イブラ・ファムのマネージャーをしているのだそう。
世界進出するに万全な布陣を敷いた本作、
セネガリーズ・ポップを飛び越えた意欲的な作品となっています。

中央アフリカ出身でブリュッセルのディープ・ハウス・シーンで活躍するヴェテラン、
ボーディ・サットヴァをフィーチャーした冒頭のアフロビーツの ‘Peace In Africa’、
セネガルのフォーキーなメロディとトロンボーン・サウンドを絡ませた ‘Yolele’、
カーボ・ヴェルデ系フランス人レゲエ・シンガーを迎えた ‘Diom Gnakou Fi’、
マリ出身の母親がよく歌っていたというゲレ人のダンス・チューン ‘Ayitaria’ では、
ゲストのシェイク・ローがフレッシュな歌声を聞かせます。

さらに、オーケストラ・バオバブの看板歌手バラ・シディベと、
サックスのチェルノ・コイテを招いた ‘The Future’、
ルンバ・コンゴリーズ・スタイルのギターが輝く ‘Coumba’ などなど、
趣向の凝らしたトラックは聴きもので、
イブラ・ファムの伸びのあるヴォーカルが、どの曲でもよく映えています。

Cheikh Ibra Fam "PEACE IN AFRICA" Soulbeats Music SBR159 (2022)
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