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トゥアレグ・ギターの逸材 ボンビーノ [西アフリカ]

Group Bombino.JPG   Bombino.JPG

次々とリリースされるデザート・ブルースものに、いささか食傷気味でもあるんですけど、
今度ライスから発売される、ニジェール北部アガデス出身の
ボンビーノことオマーラ・モクタールは、注目に値します。

ぼくがボンビーノを知ったのは、グルーポ・ボンビーノ名義で出た
サブライム・フリークエンシーズ盤が最初。
シアトルのユニークなレーベル、サブライム・フリークエンシーズがリリースする
一連の「砂漠のブルース」ものは、どれも音質が劣悪で、
一度聴いたっきり、放り出してしまうのがほとんどだったんですけど、これは違いました。

アクースティック・ギターとパーカッションによる、
ウネるようなビートがトランスを誘うアルバム前半4曲は音質も良く、
なによりその個性的なサウンドに、耳をそばだてられました。
後半5曲は、07年に地元アガデスで録られたライヴとなっていて、
エレキ・ギターに持ち替え、ベースとドラムスも加わったサイケデリックなサウンドを展開。
その強烈なバンド・サウンドに圧倒されました。
ぼくが苦手とするタテノリのロック・ビートとはいえ、そのおんぼろなドラムスの音に、
70年代のルンバ・ロックがぼろぼろの楽器で演奏していたのを思い出し、
なんだか胸が熱くなってしまったのです。

のちになって、前半4曲は、フランスのリアクションというレーベルから
ダウンロード版でリリースされている“AGAMGAM 2004” (CD未発売)
と同セッションのものであることが判明しました。
(なぜかこちらのアルバムでは「バンビーノ」と表記されています)
サブライム・フリークエンシーズ盤には、“AGAMGAM 2004” にはない2曲が収録されているので、
未発表録音がほかにもまだあるのかもしれません。
そして、これに続くボンビーノのセカンド作として世界に向けてリリースされたのが、
今度ライスから出る“AGADEZ” というわけです。

アメリカ人映画監督ロン・ワイマンのプロデュースのもと制作された本作は、“AGAMGAM 2004” や
“GUITARS FROM AGADEZ VOL.2” 前半をさらにグレイド・アップした内容で、
アクースティックとエレキ両刀使いのボンビーノの巧みなギターを中心としたサウンドとなっています。
ティナリウェンのような強度はのぞめないものの、
パーカッションを中心とした穏やかなグルーヴが、ボンビーノの頼りなげなヴォーカルを補い、
トゥアレグ・フォーク・ロックな趣も感じさせますね。

なかでも9分を超す“Izat Idounia Ayasahen” では、
さながら<砂漠のジャム・バンド>ともいえる熱演を繰り広げていて、
やはりライヴを観てみないと、ボンビーノの真価はわからないのかも知れません。

ボンビーノは今年、スキヤキへの出演で来日が予定されているとのこと。
富山までは行けませんが、もし東京に来てくれるのなら、ぜひ体験したいものです。

Group Bombino "GUITARS FROM AGADEZ VOL.2" Sublime Frequencies SF046CD (2009)
Bombino "AGADEZ" Cumbancha CMB-CD20 (2011)
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