SSブログ

ミャンマータンズィンの新展開 メーテッタースウェ [東南アジア]

May Thet Htar Swe  APYOZIN.jpg

かわいいなぁ、メーテッタースウェ。
まんまるのお月様みたいな笑顔がとっても愛らしく、典型的な福顔ともいえる彼女、
スキー、ジャンプの高梨沙羅選手にも似てる気がしますねえ。

彼女のフェイスブックをフォローしているんですけれど、
ライヴ動画や写真がたくさん載っていて、伝統歌謡歌手としての活躍ばかりでなく、
ミャンマーの中学生の日常が垣間見れて、すごく面白いんです。

学校のテストの点数表を堂々とアップしてたりして、びっくりしちゃうんですが、
きっと成績優秀なんだろうな。すごく利発そうだもんなあ。委員長タイプかしらん。
学校帰りの田舎道みたいなところで友達と一緒にいるところや、おうちで勉強してる様子など、
ほんとにフツーの中学生の女の子という感じで、目を細めてタイムラインを眺めています。

さて、そんな「ガール・ネクスト・ドア」的存在のメーテッタースウェの新作が、
1月10日彼女の誕生日に合わせてリリースされました。
タイトルの『アピョーズィン』は、「処女」という意味だそう(ドギマギ)。
去年の“SANDA KAINAYI NIN DUTIYA SHWE NINSI” のジャケットは、
背伸びしすぎな大人びた化粧が不自然でしたけれど、
今作のジャケットは、そのタイトルゆえか、薄化粧でとってもカワいく写ってます♡

前作は本格的な仏教歌謡集でしたが、
今作は伝統ポップスのミャンマータンズィンですね。
伴奏にバンジョーやマンドリンがフィーチャーされ、世界一のどかなポップスを聞かせます。

時代錯誤とも思える健全歌謡ぶりは、毒のなさが際立っていますけれど、
それが退屈でないのは、ミャンマー独特の不思議メロディゆえ。
うねうねとしたメロディは、インドにもタイにもないミャンマー独自のもので、
本来ミャンマー音楽になかった和声を西洋音楽から取り入れて、
伝統的な旋法とミックスした面白さを楽しむことができます。

今作にはサイン・ワインやサウンといった伝統楽器は登場せず、
伝統音楽の楽器編成と西洋音楽のバンド演奏がスイッチするタイプの
ミャンマータンズィンとはなっていません。
ヴァイオリン、バンジョー、マンドリン、ギター、各種スライド・ギターといった、
弦楽器を効果的にフィーチャーしたバンド演奏となっています。

なかでも耳奪われるのは、「ミャンマー・ギター」とジャケットにクレジットされているギターで、
これはリゾネイター・タイプのスライド・ギターでしょう。
これとはまた他に、スティール・ギターも聞こえてくるし、
伝統歌謡の世界でずっと廃れていたスライド・ギターが、
復興しはじめた兆しを感じさせ、嬉しくなります。

メーテッタースウェのアルバムは、前作の仏教歌謡集でもサイン・ワインを使わず、
サウン中心の弦楽アンサンブルとなっていたし、
ポップスの本作も近年のミャンマータンズィンにはほとんど登場しない
バンジョー、マンドリン、スライド・ギターを積極的に使うなど、
意欲的な取り組みをしていて、サウンドづくりにも注目できます。

十年一日の伴奏スタイルから抜け出し、過去の楽器編成やサウンドも参照しつつ、
新たな歩みをすすめようとするプロダクションは、
天才少女の歌いぶりをさらに輝かせています。

May Thet Htar Swe "APYOZIN" Rai no number (2016)
コメント(7) 

コメント 7

masahiro ishikawa

bunboni様
いつもブログ見て勉強させていただいてます。先日、プランテーションさんでこのCD入手し、あまりの可愛さに打ちのめされました。
調子に乗って無断でツィッターのページにも転載してしまいました。すみません。

追記 ラティーナの貴殿のアフリカ特集も楽しく、また夢中にCD集めしてしまうこの頃です。
by masahiro ishikawa (2018-03-20 14:58) 

bunboni

メーテッタースウェの歌、可愛いですよね。媚のないキュートさがアイドル歌手との資質の違いを感じさせるし、なにより歌唱力バツグンだし。
「ラティーナ」の記事も楽しんでいただけて、よかったです。
by bunboni (2018-03-20 20:20) 

戸嶋 久

masaさん、こっちもよろしく(╹◡╹)。

http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-10-11

http://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-c4b2.html

by 戸嶋 久 (2018-03-22 18:35) 

戸嶋 久

それから、「媚のないキュートさがアイドル歌手との資質の違いを感じさせる」(その他いっぱいある同種発言)云々にかんしては、bunboniさんと、一度徹底的にケンカしないといけないんだと思っています。
by 戸嶋 久 (2018-03-22 19:53) 

bunboni

戸嶋さんが不快に感じたのは、「アイドル歌手との資質の違いを感じさせる」の一文ですね。
「個人的嗜好の域を超えています。客観的評価の領域に踏み込んでいますよね」とわれましたが、あぁ、そのように受け止められてしまうわけですね。

アイドル歌謡(ポップス)が好きな人にとって、
上の発言は「アイドル歌謡をナメんなよ」的反応を引き起こしかねない、不用意な発言だったと反省しますが、一方で、ぼく自身の評価、見方であることも間違いないんです。

つまり、プログレが苦手なのと、アイドル歌謡を受け付けないのって、ぼくにとっては同一線上のものなんですよ。
徹底的に作り込まれた世界観を受容できるかどうかという問題で、ぼくはそういう音楽が苦手なわけです。

以前、ワールド・ミュージック・ファンにも、ルーツ・ミュージック派とプログレ派の二派があると、誰かおっしゃってましたけど、言い得て妙で、その二派ははっきりと音楽観に違いがあると思うんですよね。
じっさい二派の音楽的嗜好は、まったく相容れない部分があることは実証済みですからねえ。

音楽家の内発的なエネルギーが自然発生的に表現される音楽を好むファンにとっては、ミュージカルとか、宝塚的なる、徹底的に創作されたガチガチの音楽って、心から入り込むことができないんですね。
その二派の音楽家には、はっきりとした資質の違いを感じるからこそ、上のような発言につながったわけです。
ただ、それは「客観的評価」であるはずがなく、
あくまでもぼくの主観による評価、見方であって、
とどのつまりは、個人的嗜好に過ぎないというところに戻ってしまうんですけれども。
by bunboni (2018-03-23 23:57) 

戸嶋 久

わかりました。

まあこれを読むと、これはこれで、あれっ?しっかり創り込まれている(と僕は感じる)音楽作品でもbunboniさんがお好きだとか評価なさっているものがたくさんあるじゃないかと、いろいろと考えるところがありはするんですが。

0か100かみたいなアホみたいに徹底的に突き詰めると、アレンジは一切ダメ、一部のフリー・ジャズみたいな完全即興じゃないと好きじゃないみたいになってしまいますが、そういう意味ではないですね。

僕は僕で、ふだん自分のブログで書いているように、かなりしっかりと、徹底的に細部までアレンジされ、オーディエンスの反応まであらかじめ計算され尽くしたような音楽やお芝居などなど、そういった娯楽品がだ〜〜いすき!で、わかっていてそれにハマる快感も気持ちいいです!

今夜はもう寝ます。
by 戸嶋 久 (2018-03-24 00:14) 

bunboni

まあ、自分の好みもいい加減だから、なかなか言葉で説明するのもたいへんです。
おやすみなさ~い。
by bunboni (2018-03-24 00:24) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。