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50代半ばを迎えたポップ・アイコン、カイーミを歌う リオ [西・中央ヨーロッパ]

Lio Canta Caymmi.jpg

リオ?
80年代ニュー・ウェイヴ時代に話題を呼んだ、あのフレンチ・ロリータ?
もちろん名前は知っているし、ヌード・ジャケットにも覚えがありますけど、
まったくの関心外の歌手で、じっさいに聴いたことはこれまでなし。
実はベルギーのシンガーで、生まれがポルトガルだったとは、今回初めて知りました。

そのリオの新作が、ドリヴァル・カイーミのカヴァー・アルバムというので、
へぇ~っと思って、手が伸びたんですが、これがなかなかの拾い物。
なんでまた、フレンチ・テクノ・ポップの元アイドルが、
カイーミをカヴァーするなんて、酔狂なことをしたのかは知りませんが、
これが初めて母語のポルトガル語で歌ったアルバムとなったそうです。

ジョビンのボサ・ノーヴァをカヴァーするような、ありきたりの企画ではなくて、
カイーミに白羽の矢を立てたのは、
一世を風靡した尖ったポップ・アイコンの意地でしょうか。
『森高千里、加山雄三を歌う』みたいな。ちょっと違うか。

それはさておき、初体験のリオ。
おそらく往時とはまったく変わったと想像する枯れた声が、
カイーミを歌うのにちょうどよい塩梅。
55歳となったリオが、一人の大人の女性として、
カイーミの歌に向き合っているのが伝わってきて、爽やかに聞けます。

演奏は全員ヨーロッパ人のようですけれど、シンプルな編成で、
カイーミの音楽性を素直に再現していて、好感が持てます。
ボサ・ノーヴァやジャズとかにアレンジしたりしてるんじゃないかと、
ヒヤヒヤしてたんですが、大丈夫でしたね。
伴奏のギターが、ナイロン弦じゃなくスティール弦なのも、
カイーミの音楽をちゃんと理解している証拠ですね。

ブラジル人がカイーミをカヴァーすると、
ちょっと真面目に取組みすぎるきらいもあり、
コミカルな味もあるカイーミのポップ性を、
素直に引き出した本作は、グッジョブです。

Lio "LIO CANTA CAYMMI" Crammed Discs ZEP020 (2018)
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