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難民の歌 マリサ [東ヨーロッパ]

Marisa  TRAGOUDIA TIS PROSFYGIAS.jpg

エル・スール・レコーズで原田さんとおしゃべりしていて、差し出された1枚。
古色蒼然としたセピア色の写真には、湾岸の街並みと船首が写り、
一枚の女性歌手の写真が添えられています。
古典レンベーティカのリイシュー?と思ったら、「いや、これ新録なんですよ」と言う。

聴かせてもらうと、スミルナ派のレンベーティカやアナトリアの古謡を歌ったアルバムで、
マリサという女性歌手のみずみずしい歌いっぷりに、ひと聴き惚れしました。
古風な節回しは相当なヴェテランであることをうかがわせるものの、
ディープ一辺倒というわけではない、色香のある軽やかなこぶし回しに、
この人ならではの魅力があります。

いやぁ、いいねえ、とウナってしまったんですが、
原田さんは、アルバムはこれ一枚で、どういう人なのか、経歴がまったくわからないと言う。
これほど歌える人なのに、これ一枚しかないなんて不思議すぎるんですが、
ぼくも家に帰って、あれこれ調べてみるも、やはり情報はみつからず。
声を聴く限り、60代くらいのヴェテランに思えるんですけれどねえ。
ジャケットに写る、古めかしい女性の写真は誰なんだろうなあ。

アルバム・タイトルも『難民の歌』なら、1曲目の曲名も「難民」という本作。
1922年のスミルナの大火で、港湾都市スミルナから逃れた難民をテーマにした
アルバムらしいんですけれど、CDライナーには曲目しか記されておらず、
まったく手がかりがありません。

伴奏者などのクレジットも皆無という愛想のなさは、
本当に新録なのかという疑念もよぎり、
80~90年代に出たアルバムの再発というのもありえるかも。
わからないことだらけの謎アルバムだなあ。

ヴァイオリン、ブズーキ、ギター、カーヌーン、ダルブッカ、ベースという編成に、
曲によってウードやバグラマー、クラリネットにアコーディオンが加わる演奏も、
スミルネイカ・ソングの理想的伴奏といえ、
そのアンサンブルの素晴らしさにも耳奪われる、知られざる傑作です。

Marisa "TRAGOUDIA TIS PROSFYGIAS" Legend 2201151252 (2002)
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