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ファドの看板を下ろして アントニオ・ザンブージョ [南ヨーロッパ]

António Zambujo  VOZ E VIOLÃO.jpg

あ、これなら聞けるわ。
ボサ・ノーヴァの歌い口でファドを歌うアントニオ・ザンブージョは、
こんな気持ち悪いファド、聞けるかよと、ずっと耳が拒否ってたんですが、
ボサ・ノーヴァに寄せたギター弾き語りの新作は、ぼくでもOK。

新作は『声とギター』という、ジョアン・ジルベルトのアルバムから借りてきたタイトル。
セルソ・フォンセカとか、最近使い回されることの多いタイトルですけれど、
シンプルなギター弾き語りで、ファドから離れてくれたおかげで、
ようやく寒気を覚えず、この人の歌を楽しめました。

そうだよね。そもそも、ファドなんか歌わなきゃいいんだよな。
こういう歌い口が魅力になるレパートリーは、いくらでもあるんだからさ。
フランク・ドミンゲスの代表曲‘Tu Me Acostumbraste’ なんて、最高じゃないですか。
ザンブージョの歌を聴いて、いいなあと思ったの、これが初めてですよ。

この人、フィーリンを歌えば、バッチリじゃん。
ホセ・アントニオ・メンデスの曲なんかも、歌わせてみたくなりますね。
やっぱボサ・ノーヴァやフィーリン向きの人なんだな。
ファディスタなんかじゃないよ、この人。
「ニュー・ファド・ヴォイス」なんて気色の悪い看板、下げちゃえばいいのに。
ここでもファドの‘Rosinha Dos Limões’ を歌っているけど、やっぱキモイ。
こういうのを平気で聞ける人って、ファドをなんにも知らない人だと思うよ。

また、ボレーロ~フィーリン調が似合うといっても、
‘Mona Lisa’ みたいな甘ったるい曲を選曲する通俗さは、いただけないなあ。
もっとドライな曲を集めた、大人向けのヴォーカル・アルバムを作ってもらいたいものです。

António Zambujo "VOZ E VIOLÃO" Sons Em Trãnsito/Universal 3574949 (2021)
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