バンバラのチワラ ムサ・ジャキテ [西アフリカ]
ジャケットに写る木彫りは、バンバラ人の農耕の祭儀で登場する仮面のチワラ。
アフリカン・マスクの代表的な頭上面のひとつで、
バンバラの神話で農耕をもたらしたとされる
ローン・アンテロープ(羚羊)がモチーフとなっています。
前に紹介したミシェル・ユエットの写真集にも、
チワラを頭上に載せて、畑を耕すしぐさで踊っている
仮面ダンスの写真が載せられています。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2023-10-15
チワラにはオス・メスがあり、オスはたてがみを持ち、
メスは背中に子供を載せているんですね。
ぼくはオスのチワラを持っていますが、
このジャケットに写っているのもオスのチワラです。
ワスルをルーツとするバンバラ人ギタリストで、現在シドニーで活躍する
ムサ・ジャキテの新作は、昨年の記事の最後に取り上げた
“KANAFO” の次作となります。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-09-02
前作同様、マリ・オーストラリア人音楽家の合同作業で、
クレジットの名前から察するに、ンゴニ、カマレ・ンゴニ、バラフォン、コラ、
バック・コーラスがマリ人で、ベース、ドラム・キット、キーボード、ハーモニカなどが
オーストラリア人のようです。演奏はまったくのアフリカン・マナーで、
両者が実にしっくりと共演しています。
タイトル曲は、バンバラらしいマイナー・ペンタトニックのインスト曲で、
物悲しいメロディが胸に染み入る印象的なトラック。
ハーモニカが効果を上げているほか、タマの達者なソロもフィーチャーされます。
ムサの枯れた歌声がシブくて、味わい深いことこのうえないですね。
ダンサブルな曲での飾らないラフな歌いっぷりもよければ、
ゆっくりと語りかける曲での慰撫するような優しい歌い口も沁みます。
ギターはキレがあり、キリッと音色が立つタッチが、
さすがはシュペール・レイル・バンドでならした人と嬉しくなります。
Moussa Diakite "BLUE MAGIC" Wassa no number (2023)
2023-12-20 00:00
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