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アフロ・ジャズ・ファンクなハイライフ・ジャズ ジェドゥ=ブレイ・アンボリー [西アフリカ]

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19年の前作では、ヴェテランらしい懐の深さで、
快調なファンキー・ハイライフを聞かせてくれたジェドゥ=ブレイ・アンボリー。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-12-07
3年ぶりの新作がハイライフ・ジャズと知ったら、
ここ最近ジェドゥのファンになった人にとっては、意外かも。

ハイライフ・ジャズというと、古くはクーラ・ロビトス時代のフェラ・クティが
試行錯誤していたジャンルとして知られていますけれど、
のちにこのスタイルを打ち出した音楽家が、ギタリストのエボ・テイラー。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2013-03-05
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-06-13

ハイライフの歴史の中では、傍系のジャンルというか、
変種のような存在ですけれど、ナイジェリアのサックス奏者のピーター・キングが、
デビュー作でハイライフ・ジャズを演っていたこともありましたね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2013-10-01

ジェドゥも、デビュー作をエボ・テイラーのプロデュースで制作したように、
ファンキー・ハイライフを身上としつつも、
エボからハイライフ・ジャズの影響を受けていたのかもしれません。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2013-04-18
ジェドゥは、01年にハイライフ・ジャズのアルバムを制作していて、
本作は21年ぶりに再挑戦したアルバムなのでした。

オリジナル曲にモダン・ジャズ時代のクラシック・チューンを交えた01年作と、
今回も同様の企画ですけれど、今作はアレンジが素晴らしいですね。
01年作でも演っていた ‘All Blues’ ‘Round Midnight’ ‘Footprints’ の再演に、
コルトレーンの ‘A Love Supreme’ まで取り上げているんですが、
ベル・パターンのハイライフのリズムを忍ばせた、
ハイライフとジャズを融合させたアレンジが鮮やか。
そのアレンジの手腕がジャズ・マナーでなく、
アフロ・ジャズ・ファンク・マナーなのがミソなんであります。

ハイライフはそのときどきの流行に応じて、ラテン、カリプソ、ソウル、ファンクなど、
さまざまな外来音楽を取り入れてきましたけれど、
その咀嚼の仕方に共通するセンスがあって、
それがモダン・ジャズを取り入れたハイライフ・ジャズにもみられます。

それは、ジャズ側に身を寄せるのではなく、自分たちの土俵に引き寄せるやりかたで、
晩年のトニー・アレンがジャズにアプローチしたのは、
これとは真逆のジャズに寄せていく方法論だったたからこそ、
ユニークな作品となったのでした。

20年ぶりに聴くジェドゥのハイライフ・ジャズは、
すごく洗練された仕上がりで、スタイリッシュと形容しても過言じゃないでしょう。
ラップの元祖ともよく言われるジェドゥのヴォーカルが、
ヒップ・ホップ的な感性ともシンクロして、めちゃカッコよく聞こえますよ。
オリジナル曲も、カリビアンとボサのテイストを加えた
‘Enyidado’ のトロピカル・ムードなんて、サイコーじゃないですか。

本作のリリースに合わせ、EU諸国を精力的に回るそうで、
う~ん、ライヴ観てみたいなあ。

Gyedu-Blay Ambolley "GYEDU-BLAY AMBOLLEY AND HI-LIFE JAZZ" Agogo AR139CD (2022)
Blay Ambolley "AFRIKAN JAAZZ: A NEW SOUND IN TOWN" Simigwa no number (2001)
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