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チキン・スキン・ミュージックを求めて コルネリオ・レイナ [中央アメリカ]

Cornelio Reyna.JPG

七三分けのサラリーマン風の男が、トリプル画像で迫る訳わかんないジャケは、
人に薦めてもらえなければ、とても手を出せないソロモノ。
このCDを教えてもらったエル・スールの原田さんには大感謝です。

ライ・クーダーが『パラダイス・アンド・ランチ』で試みたテックス・メックスの世界を求めて、
原田さんが四半世紀以上探し続けた末、ようやく掘り当てたという逸品です。
たしかにライ・クーダーが憧憬としたノルテーニャ・ソングを集めたアルバムって、
これまでお目にかかったことがありません。

朗々と歌ってしまうメキシコの歌ものでは、
ライ・クーダーのボーダー・ソングのような、センチメンタルで泣きの入った味わいは求められません。
ポルカやマリアッチみたいな華やかさや派手さとは、真逆の世界なわけですからね。

コルネリオ・レイナの60年代末頃の録音とおぼしきこのアルバムには、
たそがれ男の哀愁漂う、女々しさも厭わぬヨレ具合が絶妙です。
う~ん、さすがはレーベル第一弾にホセー・アントニオ・メンデスをリリースした
原田さんの面目躍如というか、中年男の純情のツボをおしまくったアルバムですね。
ギターを中心にアコーディオンやバホ・セスト、アルパを伴奏に、
全編ランチェーラ系、マッチョのかけらもない、情けない男のバラードを聞かせてくれます。

サム・ペキンパーの『ワイルドバンチ』的世界を探求し続けた、コレクターの執念の賜物でしょうか。
こういう逸品にそうそう遭遇できるもんじゃないことは、こちらも十分身に沁みているので、
宝を掘り当てた原田さんからおすそ分けいただいて、嬉しさもひとしおです。

いやー、こういうことがあるから、ディギン・ザ・ディスクはやめられないんですよねえ。
世界中の音楽を掘れば掘るほど、あのあたりに宝がありそう…なんて見当はついても、
なかなかジャスト・ミートな出会いができず、
もどかしい思いを抱えてる、なんて物件が山ほどあります。
だからこそ、一生かけて追い求めるだけの甲斐があるってもんなんですけどね。

Cornelio Reyna "CORNELIO REYNA" RCA/BMG 82876-53066-2
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