女子大生モーラム歌手、水牛にまたがる カーオティップ・ティダーディン

お！　カーオティップ・ティダーディンの新作！
去年のデビュー作『小娘モーラム』をヘヴィー・ローテーションで聴きまくり、
調子にのってカラオケＤＶＤまで買っちゃったくらいだから、これは早速聴かなきゃね。

『小娘モーラム』は聴けば聴くほど、よく出来たアルバムだと感じ入りましたよ。
ポップ・モーラムでカッコイイ！と心から思えたのは、あのアルバムが初だったかも。
タイのポップ・モーラムって、「ポップ」というわりにはセンスが悪くて、
どん臭いビートを強調したリズム・アレンジの垢抜けなさなんて、
ホントなんとかしてくれと長年思ってたもんですけど、
このアルバムで一気に、十段くらいクオリティが上がったような衝撃を覚えました。

新作のプロダクションはさらに磨きがかかって、アイディアに富んだサウンドがてんこ盛り。
エレクトロにヒップ・ホップやラガのサウンドも巧みに取り入れ、
デビュー作に劣らぬカラフルなサウンドで楽しませてくれます。
あいかわらずキュートな歌い口で、こぶしを軽～く響かせるところも、たまりましぇん。
いやー、カーオティップ、華があります。

やっぱ、このコはアッパーなナンバーでこそ輝きますね。
スローだとただのルークトゥンになってしまうので、
ミクスチャーの妙も楽しめる、はっちゃけたアップ・ナンバーこそ命です。
とはいえ、アップとスローをうまくバランスさせ、
アルバム一枚聴き通した後の満足感を高めているところも、
カーオティップのアルバムの良さなんですけれども。

聞くところによると、カーオティップって、現役の女子大生なんですってね。
ライナーをめくると、水牛にまたがってる合成写真があったりして、
タイ現地でのカーオティップの受け止められ方って、
日本のご当地アイドルみたいなもんなんでしょうか。

Kawthip Thidadin "O.K. BOR AI" Grammy G0555275 (2012)