イヴァン・パウロのアレンジにのせて ジャコー・ボンジャルジン [ブラジル]
ここ最近のサンバ新作はサンパウロに良作が多くて、
リオからはこれといったアルバムが出ないなあと思っていたら、
80年頃のベッチ・カルヴァーリョやフンド・ジ・キンタルのサウンドを思わせる、
ポップでいい感じの新人が登場しましたよ。
ジャコー・ボンジャルジン。これがデビュー作のようですけど、
すでに20年以上のキャリアのあるサンビスタのようです。
インディ制作とは思えないクオリティの高いプロデュースで、
もしこれが80年頃だったら、メジャー・レーベルから出ていて不思議ない作品です。
トニーニョ・ジェライスというプロデューサーは知りませんでしたが、
アレンジを務めているのがなんと、イヴァン・パウロ。
どうりでベッチ・カルヴァーリョやフンド・ジ・キンタルが思い浮かぶはずですね。
ゼカ・パゴジーニョやイヴォーニ・ララをはじめ数多くのサンバのレコーディングで、
親しみやすくポップに聞かせるアレンジを施してきた仕事師です。
今回もブリッジがバイオーンになるという、こしゃくなアレンジを聞かせてくれ、
さすがはサンバ・アレンジのマエストロとウナらされました。
バックは7弦ギターのカルリーニョス・セッチ・コルダスをはじめとする、
リオのトップ・ミュージシャンたちがずらりと顔を並べています。
フルートやクラリネット、トロンボーンなどの管楽器の使い分けも効果的ですね。
アフロ・サンバぽい曲もさらりとポップに決めています。
主役のジャコーのクセのないなめらかな声も、
イヴァン・パウロのアレンジと相性ぴったり。
サンバの味わいという意味では、ゲストのトリオ・カラフリオの面々の方が、
コクのあるノドを披露しているといえるかも。
ゲストといえば、1曲ウィルソン・モレイラが参加していたのにはびっくりしました。
ここ十年ほど姿を現していなかったので、どうしているのかと思ってましたけど、
ちらっと歌声が聴けただけでも嬉しかったな。その声はかなり衰えをみせているとはいえ、
レコーディングに参加したくらいなのだから、きっとお元気なんでしょう。良かった。
これほど贅沢なレコーディングなのにインディ・リリースで、
しかもほとんど出回っていないなんて、いけませんねえ。
こういうポップなサンバは、メジャーで売ってナンボだと思うんですけれども。
とはいえ、こうしたクオリティの高い作品が制作され続けているだけでも、
ファンとしては嬉しい限りであります。
Jacob Bonjardim "CHEGANDO DE FININHO" AMR AMR6455 (2013)
2013-12-28 00:00
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