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サハラ砂漠のテントの中で エトラン・フィナタワ [西アフリカ]

Etran Finatawa The Sahara Sessions.jpg

ワーダベとトゥアレグの混成メンバーによるエトラン・フィナタワの新作。
このグループはデビュー作からずっとライスが配給していましたけど、
この新作はリリースが見送られたようですね。
そういえば、エトラン・フィナタワのメンバー、
アルフセイニ・アニヴォラのソロ作もライスは配給しなかったしなあ。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-09-14

デザート・ブルース関連のグループの中では地味というか、
やや華がないともいえるエトラン・フィナタワですけど、
今作はそのなかでももっともシブいというか、ほとんど民俗音楽のようにも聞こえるアルバム。
ライスが配給をやめたのも、わからないじゃないというか、
これは売れないだろうなあ、というのが率直な感想であります。

でも、だからといって悪い内容というわけじゃありません。
むしろいままでの作より、ぼくは気に入っています。
エトラン・フィナタワにとって本作は異色の企画作で、
ジャケット裏に写真が載っているとおり、だだっ広いサハラ砂漠に、
動物の毛皮を広げたテントの中で録音されたセッションとなっています。

いつものメンバーだけでなく、ニアメーから連れてきたという
トゥアレグのお姉さん3人組のコーラスと一緒に歌ったり、
テントにひょっこりとやってきたトゥアレグのグリオと、即興でセッションをしています。
テハルダント(ンゴニと同じトゥアレグの弦楽器)が聞こえるのは、
そのグリオが弾いているものなのでしょう。
ほかにも、物見高く集まってきた少年たちを迎え入れて歌わせたりと、
まさに砂漠で生活する日常的なセッションが繰り広げられているんですね。

エレクトリック・ギターを使わず、ナイロン弦ギターとアクースティック・ギターの二台だけの演奏で、
カラバシやテンデなどのパーカッションが付くだけのアンプラグドなアルバム。
ティナリウェンの“TASSILI” と似た位置づけになるかもしれませんが、
こちらはもっとカジュアルというか、滋味に富んだ仕上がりです。
それが一聴、民俗音楽みたいとも思えるのですが、
ぱかん、ぱかんとのんびり打たれる手拍子に、
一緒にサハラ砂漠のテントにお邪魔して聞かせてもらってるようで、なんともいい味わいなのです。

Etran Finatawa "THE SAHARA SESSIONS" Riverboat TUGCD1071 (2013)
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