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ライヴはジャズ・ファンク100% マーカス・ミラー [北アメリカ]

Marcus Miller  LIVE.jpg   Marcus Miller  TALES.jpg

マーカス・ミラーはスタジオ録音よりライヴの方がいい。
それを実感したのが、四半世紀以上前に買ったブートレグでした。
渋谷HMVの試聴機でぶっとんで買ったのをよく覚えています。

当時のマーカス・ミラーの新作 “TALES”(95) が力作なことは
十分理解しつつも、作品としてあまりにもきっちりとプロデュースされすぎていて、
キモチが入り込めなかったんですよね。
ちょうどその直後に出たブートレグ・ライヴに、
そうそう、こういうのが聴きたかったんだよと、快哉を叫んだのでした。

“TALES” は、レスター・ヤング、ビリー・ホリデイ、チャーリー・パーカー、
デューク・エリントン、マイルズ・デイヴィスの生声をサンプリングして、
マーカス・ミラーのブルース/ジャズ観を示してみせた力作。
作品としての完成度の高さは、ルーサー・ヴァンドロスや
デイヴィッド・サンボーンの作品をプロデュースしてきた
マーカスの手腕が十分発揮されたものでした。

思えばマーカスは、再復帰後のマイルズ・デイヴィスにフックアップされただけでなく、
マイルズのアルバムをプロデュースするまでになった人ですからね。
プロデューサーとして磨きがかかった時代でもあったといえますが、
作品主義に傾いたプロデュース・ワークは、スポンティニアスな
ジャズ/フュージョンの魅力を損なっていたことも否めませんでした。

Marcus Miller  OSAKA, JAPAN 1996.jpg

ブートレグ・ライヴは、88年アメリカとだけクレジットされていましたが、
同メンバーによるさらに強力なライヴ盤が出たんですね
(例のいかがわしいキプロス盤レーベルですが)。
“TALES” のリリースに合わせて96年に来日した時のライヴで、
ブルーノート大阪でのステージが丸ごと、2枚のディスクに収められています。

96年の来日ツアーが充実していたことは、
東京・大阪・福岡のブルーノートでのライヴに、
モントルーとカリフォルニアのライブを加えて編集された
“LIVE & MORE” が97年に出されたとおり。
大阪でのライヴは “LIVE & MORE” に3曲収録されましたが、
当夜の全曲を楽しめるこの2枚組はまたとないものです。

メンバーは件のブートレグと同じ、ケニー・ギャレット(as)、マイケル・スチュワート(tp)、
プージー・ベル(ds)、バーナード・ライト(key)に、
モーリス・プレジャー(key)がデイヴ・デローンと交代して
ハイラム・ブロック(g)とレイラ・ハサウェイ(vo)が加わった強力な布陣。

ハイライトはやはり、レイラ・ハサウェイのヴォーカルをフィーチャーした
‘People Make The World Go Round’ ですね。
“LIVE & MORE” では9分に短縮されていましたが、
こちらではノー・カット14分半に及ぶ大熱演を堪能することができます。
ジャム・セッション風なパフォーマンスを冗長に思う人があるかもだけど、
ライヴらしいこういうラフさが、ぼくは好き。
スタイリスティックスが歌ったこの曲、
なぜかジャズ・ミュージシャンがよく取り上げますが、
レゲトンにアレンジしてみせたのは秀逸でした。

そしてケニー・ギャレットがぶち切れた咆哮を繰り返す、
ラストの ‘Come Together’ がスゴイ。
大団円のエンディングのあと、マーカスがバス・クラリネットに持ち替え、
ケニーのアルト・サックスとマイケルのトランペットの3人で
ディキシーランド・ジャズをやらかして、二度目のエンディングへ。
この演出には、会場も大盛り上がり。
いや~、いいライヴだったぁと、上気した顔で会場を出る
観客たちの様子が目に浮かぶアルバムです。

Marcus Miller "LIVE" no label MK42536
Marcus Miller "TALES" PRA 60501-2 (1995)
Marcus Miller "OSAKA, JAPAN 1996" Hi Hat HH2CD3249
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