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汗飛び散るアメリカン・ロックを思い出して ジョッシュ・ディオン・バンド [北アメリカ]

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珍しいことが続くもんです。
ジャズのピアノ・トリオを愛聴するなんてのも十年ぶりぐらいなら、
このテのアメリカン・ロックのアルバムに夢中になったのなんて、四半世紀ぶりぐらいかも。

プッシュしていたCDショップの「だまされたと思って聴いてみてください」の文字に、
ふらふらと試聴してみたら、ほんとにだまされちゃいました。
ニュー・ヨークを拠点に活動する無名バンドのデビュー作なんですが、
直球ストレートの開放的なアメリカン・ロックに、いや~、胸がスカッとしました。
頭ガクガク揺らすタテノリの感覚なんて、ほんと30年くらい忘れてましたね。

それにしても、このジャケの垢抜けなさは、ちょっとヒドイっすね。
アメリカのどっかの地方都市にでもいそうな学生バンドふうのルックスで、
YouTubeにあがってるライヴを観ても、主役のジョッシュくんのファッションのダサいことといったら!
ステージでその普段着は何だよと、突っ込みのひとつも入れたくなる構わなさ。
でもその構わなさが、好きな音楽をやること以外、
なんの興味もありません的なミュージック・クレイズぶりを表しているようで、
すっかり共感してしまったというわけなんですね。

ドラムスをがしがし叩きながら歌う、ふっ切れたパワフルなヴォーカルが、とにかく爽快です。
ジョッシュくんのヴォーカルが暑苦しくなる一歩手前で、
紅一点のバッキング・ヴォーカルがクールダウンさせているのも効果的ですね。
バンドもタイトにまとまっていて、小気味よく弾き出すファンキーなビートが快感この上ありません。

さらにこのバンドの強みは、キャッチーなメロディーを持った楽曲の数々。
これまたジョッシュくんの手によるものなんですが、
ドゥービー、ホール&オーツ、スティーリー・ダンあたりを思わせるポップなメロディーに、
巧みなリフやブレイクを施したアレンジがツボにハマっていて、その実力は相当なものです。
5拍子の“Make Her My Girl” や7拍子の“Almost” など、昇天もののカッコ良さだし、
曲後半に向かってじわじわ盛り上げるロックお約束のアレンジも、
わかっちゃいるといっても、ノせられずにはおれません。
もっさりとした風貌の下にジョッシュくん、どんだけ才能を秘めてんでしょうか。

お店では3作目の新作“ANTHEM FOR THE LONG DISTANCE” も大プッシュしていましたが、
こちらはブルー・アイド・ソウルぽいファンキーなテイストのデビュー作と違い、
サザン・ロックふうのサウンドに変わっていて、ちょっとぼくは反応できず。
なんでもこのジョッシュくん、キャンディ・ダルファーのバックバンドとしての来日経験があり、
話題の新進女性シンガー・ソングライター、
ダイアン・バーチのツアー・メンバーとしても活躍中とのこと。
ロックと無縁なぼくの耳にも届いたあたりは、バンドのブレイクの日も近いのかもしれません。

Josh Dion Band "GIVE LOVE" WeBad 04189 (2005)
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