巨大地震の夜に イーデン・ブレント [北アメリカ]
みなさん、怪我はありませんか。被災などされていないでしょうか。
多数の死者が出ている情報など、断片的に入ってくるばかりで、
被害状況の全容がつかめず、国内観測史上最大の地震発生に不安がつのります。
泡立つ気持ちを落ち着けようと聴き始めたのは、イーデン・ブレント。
街娼に扮したかのような、ムードのあるセピア色のジャケット。
初めて目にした時、まるで70年代のアルバムみたいなアートワークに目を奪われました。
まったく知らない人でしたけど、ピンとくるものがあって聴いてみたら、第一声でノックアウト。
なんてブルージーな声。酒と煙草で身をやつしたかのようなハスキー・ヴォイス。
まるでブルースを歌うために生まれてきたような白人女性ですね。
ブルース・フィーリングを体得した、作為を感じさせない自然体の歌いぶりにもウナりましたけど、
若さに似合わぬ味わいすら醸し出しているのには、脱帽です。
ほとばしリ出るシャウトにも無理がなく、聴き手の胸をぐっとつかまえて離しません。
イーデンの歌を聴いていると、一瞬にして、
ミシシッピのバレルハウスやジュークジョイントに連れていかれるようです。
しかもこのイーデン嬢、ただのブルース・シンガーじゃなくてピアニストなんですよ。
軽快に転がるニュー・オーリンズ・スタイルのピアノから、豪快なブギウギまで
なんなく弾きこなすんだから、こりゃたいへんな逸材です。
録音はニュー・オーリンズ、なんて言われなくても聴きゃわかる、ゴキゲンなグルーヴ。
コリン・リンデンのギター、ジョージ・ポーター・ジュニアのベース、
ジョン・クリアリーのハモンド・オルガン、ブライアン・オーウィングズのドラムスという
売れっ子セッション・プレイヤーに、3管を加えたバックは最強の布陣でしょう。
ニュー・オーリンズならではのしなやかなリズムが繰り出すふくよかなスウィング感に、
聴いているだけで、しぜんと顔もほころんでしまいますね。
ホンキートンク・スタイルのノスタルジックな香りのナンバーから、
軽快なブギウギ、じっくり聞かせるバラード、
さらにはブラインド・ブレイクばりのラグタイム・ギターをバックに歌う曲と、
どこまでぼくのツボを押しまくるんですかっ!と身悶える、ぼく好みなレパートリーの数々。
イーデンはミシシッピ出身、グリーンヴィルでブーガルー・エイムズにピアノを習ったという、
なんだか出来すぎのような経歴の持ち主ですが、
09年にブルース・ミュージック・アワードを受賞するなど、
インディの枠に収まるような才能じゃない気がしますね。
もしジョー・ヘンリーがプロデュースしたら、大ブレイクするんじゃないでしょうか。
取り急ぎ、当方無事の知らせとして記事をアップしました。
現在帰宅困難中につき、写真は帰宅後までお待ちください。
Eden Brent "AIN’T GOT NO TROUBLES" Yellow Dog YDR1716 (2010)
2011-03-12 00:05
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