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ファドの館に連れていって アナ・モウラ [南ヨーロッパ]

Ana Moura.jpg

アナ・モウラの新作、いいですね。
前作“PARA ALÉM DA SAUDADE”に続き、今作も伝統ファドのスタイルで歌っています。
もともとロックやポップスを歌っていて、20歳過ぎてからファドを歌うようになった人なので、
03年のデビュー作はいかにもファド修行中といった生硬さが目立ちましたが、
07年の前作ではかなりこなれた歌いぶりを聞かせるようになっていました。

サラ・タヴァレスのアルバムにゲスト参加した時の、リラックスした歌いぶりが印象的だったので、
あんな感じでファドが歌えたらいいのにと思っていましたが、
4作目にあたる本作でようやく肩の力が抜け、ひと皮むけた歌声を聞かせます。
アマリア・ロドリゲスの真似をやめ、自分のファド表現を身につけたのでしょう。
以前に比べのびのびと歌っていて、吹っ切れたのを感じませす。

プロデュースはこれまでのアルバム同様、ファド界の重鎮ジョルジュ・フェルナンドが務めています。
ジョルジュは晩年のアマリア・ロドリゲスの伴奏ギタリストも務めた大ヴェテラン。
かなりのイケメンで、ジョルジュがウィンクするとマダムもイチコロと評判のオヤジです。
今作もほとんどがジョルジュ作によるオリジナル曲が占めています。

伴奏はジョルジュの弾くギターと、ポルトガル・ギターを中心とする
弦楽アンサンブルによる伝統ファドのスタイルですが、
1曲だけ、ブルターニュの笛ボンバルドのようなダブル・リードの管楽器と、
男性コーラスをフィーチャーした曲が出てきます。
ライナーを見ると、ガイテイロス・デ・リスボアがクレジットされていました。

ガイテイロス・デ・リスボアはポルトガルの伝統音楽を新たにリファインした音楽を目指したグループ。
グループ名のとおり、ポルトガル北部のミーニョやトラズオスモンテスあたりの田舎でよく使われる
バグパイプのガイタをフィーチャーしたグループです。
ぼくはビリビリいうダブル・リード系の管楽器が大好きなので、
チャルメラみたいなノイジーな響きを聴くと、ぞくぞくしてしまうんですよねえ。
またこの曲には、ジャズ系ベーシストのユリ・ダニエルも加わっています。
アナの歌との相性も良く、1曲といわず、もっと共演してもらいたかったですね。

ぼくが買ったポルトガル盤は、通常の片開きのデジパックではなく、
縦・横の二方向にパタンパタンと開く、変形デジパック仕様の限定版。
向きも通常のデジパックと90度違って、縦長の形となっています。
モノクロームの仕上がりも美しいジャケットです。
3年前の来日公演を見逃してしまったので、また来日してほしいですねえ。

Ana Moura "LEVA-ME AOS FADOS" Universal 2722688-0 (2009)
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