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ブラジルのハーモニカ マウリシオ・エイニョルン [ブラジル]

Mauricio Einhorn.JPG

ブラジル最高のハーモニカ奏者マウリシオ・エイニョルンの“ME”がCD化されました。
(リイシュー専門の怪しいレーベルですけど)
“ME”(80)は、トゥーツ・シールマンスの“LIVE 2”(76)と並ぶ、
ぼくのフェバリットのジャズ・ハーモニカ・アルバムです。

どちらも名盤などと奉るようなアルバムではなく、
さらっと聴けるイージー・リスニング的な小品なのですが、
クロマチック・ハーモニカで高速のバップ・フレーズを淀みなくプレイするなど、
超絶テクをなにげなく披露しているところが聴きどころなんですよね。
どちらもエレピが使われていて、都会的なシャレたサウンドになっているところも、
お気に入りのゆえんです。ハーモニカとエレピって、相性バツグンです。

マウリシオ・エイニョルンは、32年リオの生まれ。
49年にザ・ブラジリアン・ラスカルズというハーモニカ・バンドで初録音を残し、
60年代にはギタリストのドゥルヴァル・フェレイラとともに、
数々のジャズ・サンバ名曲を作り、作曲家として名声を得ました。
バーデン・パウエルの“TEMPO FELIZ”(66)をはじめ、
数多くのアルバムにハーモニカ・プレイヤーとして参加してきたにも関わらず、
80年の“ME”が初ソロ作だったのだから、
ブラジルのインスト奏者の過少評価ぶりがよくわかります。

ブラジルには大勢のハーモニカ・プレイヤーがいて、
マウリシオの先達には、16年生まれのエドゥ・ダ・ガイタがいます。
あ、ちなみにブラジルでは、ハーモニカをガイタと呼ぶんですよ。
エドゥはクラシックもポピュラーも演奏し、
60年代にはラダメース・ニャターリ・セステートの一員でした。
マウリシオより若い人では、プロデューサーとして活躍したリルド・オーラがいます。
マルチーニョ・ダ・ヴィラ、ベッチ・カルヴァーリョ、マリア・クレウザ、ジョアン・ボスコなど、
数多くの70年代サンバの名作をプロデュースし、アレンジした人としても有名ですね。

エドゥやリルド・オーラは和音を多用して、ハーモニカらしい音色を響かせますが、
マウリシオ・エイニョルンは単音中心の高速フレーズを得意とし、
まさにブラジルのトゥーツ・シールマンスといったプレイを聞かせる人。
最近では若手のガブリエル・グロッシが、マウリシオの後継的存在として活躍しています。

マウリシオのアルバムでは、セバスチャン・タパジョスとのデュオや
アルゼンチンでのセッションなどもありますが、
やっぱり一番手が伸びるのは本作ですね。
軽やかなタンギングで聞かせるマウリシオとドゥルヴァルの名曲、
“Batida Diferente” “Estamos Aí” は、数多いヴァージョンのなかでもベストの仕上がりです。

Maurício Einhorn "ME" Omega 1093 (1980)
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