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シャンソン・クレオールがいざなう桃源郷 ジョー・ジャック

Joe Jack.JPG

春爛漫。桜の花びらが風に舞い、薄紅色の絨毯となった路面がまぶしいほどです。
こんなうららかな季節には、シャンソン・クレオールののどかな調べがよく似合います。
毎年春がやってくると手が伸びるのが、ハイチのアコーディオン弾き、ジョー・ジャックのアルバム。
ほっこりとしたリズムにのるやさしいメロディは、天然のさとうきびのようなほのかな甘さがあります。

ハイチの音楽を聴く人でも、ジョー・ジャックを知っている人はほとんどいないみたいで、
このCDをかけるときまって、「これ、誰?」と訊かれます。知られざる名盤ですね。
本作のタイトルともなっているL’HOMME ORCHESTRE(ワン・マン・オーケストラの意)は、
ジョー・ジャックのトレードマークだったらしく、
80年代のジェロニモ盤には、いつも名前の横に書かれていました。
78年デビュー作(たぶん)の本作は、JJの原盤に1曲を追加し、ミニが95年にCD化しました。

ジョー・ジャックの本名は、ジョセフ・ジャック JOSEPH JACQUES。
なんでまた、ジョー・ジャックなんてインチキくさい芸名に替えちゃったんでしょうね。
アメリカ人観光客が多いホテルやナイトクラブでも演奏していたんでしょうか。
いつも濃いサングラスをかけているのは、目が不自由なせい?
とにかくこの人の経歴がまったく不明で、詳しいことがよくわかりません。

ジョーのレコードを初めて手にした時、その芸名にゲテモノかとおそるおそる買ったので、
レコードの針を落とし、うっとりとする柔らかなメロディが流れてきたのには、びっくりしたものです。
アコーディオンの響きが優しいんですよねえ。
ジョーの甘いクルーナー調の歌い口とあいまって、トロけます。

ハイチの音楽は、メラングやコンパからミジック・ラシーンに至るまで、
カリビアン・ミュージックというひとつの固定されたイメージがあって、
ラテン音楽とは別物という印象がありますよね。
でも、こんなボレーロ風味いっぱいのシャンソン・クレオールを聴くと、
ハイチ音楽もラテン音楽なんだということに、あらためて認識させられます。

よく晴れた休日の午前、春の日が差し込むリビングで、
ジョー・ジャックを聴いているときほど、平和な気分にさせてくれるものはありません。
思わず頬が緩むのどかなメロディに、桃源郷へといざなわれます。

Joe Jack "L’HOMME ORCHESTRE" Mini MRSD1030 (1978)
コメント(4) 

コメント 4

土木作業員

おぉ!アコーディオン・ジョー(…すみません、勝手にそう呼んでます…)。

この人の歌はマルチニークのレコード屋さんで出会い、マルチニークの記憶と分かちがたく結びついてまして、一気に天国へ連れてってくれる天上歌手の一人です。あとハイチ40選で挙げられてたトト・ネセシティのスーパー・バッド盤もワルぶるジャケットと真逆の天上盤ですよね~。ハイチのオトコ達、甘口です。
by 土木作業員 (2010-04-10 19:07) 

bunboni

さすが、よくご存知!
ハイチのへろへろした歌い口って、キューバやプエルト・リコでは得られない味ですね。
by bunboni (2010-04-10 19:40) 

繁盛亭アルバイテン

JJと言えばケールしか思い浮かばないようなハイチ音楽初心者ですが、
bunboniさんの文章から勝手に音を想像するだけでワクワクします。
本当に春の木漏れ日とハイチの音楽って相性が良いですね。
もっとたくさん色んな音楽を聴きたいです。
「after you」を読むたびに、いつもそう思います。
by 繁盛亭アルバイテン (2010-04-11 02:47) 

bunboni

ありがとうございます。
急にログインできなくなるトラブルでお返事が遅れ、失礼しました。
by bunboni (2010-04-12 08:51) 

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