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メラングの豊かな音楽性 イッサ・エル・サイエ

Issa El Saieh.JPGすごい! 凄い!! スゴーイ!!!
イッサ・エル・サイエと彼の楽団メンバーが、40~50年代のハイチ音楽を語るドキュメンタリー・ヴィデオ。今月号の『レコード・コレクターズ』の原稿は努めて冷静に書きましたけど、初めてこのDVDを観た時は、もう興奮しまくって、どうしようもありませんでしたね。

なんせイッサ・エル・サイエやラウル・ギヨームほか、ハイチ音楽史を飾るマエストロたちが次々と登場して、ハイチ大衆音楽揺籃期の様子を証言してくれるんですから。そんな彼らの重要な証言の数々に、往時の白黒フィルムの貴重な映像をふんだんに挿入し、肉付けした編集がまた的確で、全編52分、画面に釘付けになりっぱなしです。イッサは50年代に音楽界から足を洗い、ハイチ絵画のディーラーへと転進してしまったため、半世紀も経って、こんな形で往年のハイチ音楽を語ってくれるとは思いもよりませんでした。
この見事な脚本と演出をしたのは、フランツ・ヴォルテール。
この人の名は記憶にとどめておきましょう。

DVDを観て、あらためてよく理解できるようになったのは、
ヨーロッパ、ジャズ、アフリカ、キューバなど、さまざまな音楽が溶け込んだ、
メラングというミクスチャー・ミュージックの豊かさです。
イッサは、優雅なオーケストラ・サウンドの中に、
ヴードゥー音楽、トルバドール、ジャズが取り入れられていることを具体的に示し、
ラウル・ギヨームは、3種類のメラングの違いを説明してくれます。
また、ヴードゥーの歌をハイチ中に広めたエメランチ・デ・プラジンの証言や、
トゥンバ・フランセーサにハイチ音楽の影響を語るキューバ人ピアニストのエレクト・シルバなど、
これまで資料で表面的にしか知らなかったことがよくわかり、なるほどと納得することしきりです。

ほかに映像で登場するアーティストは、
ギィ・デュロジェー、ジョー・トルジョー、チローロなどのハイチ勢に加え、
ベボ・バルデース、セリア・クルース、ダニエル・サントス、ベニー・モレー、ペレス・プラード、
トリオ・マタモロスなどのキューバ勢、ビリー・テイラーのアメリカ勢という絢爛豪華さ。
セリア・クルースのステージに呼ばれたマルタ・ジャン=クロードが登場するシーンには、
キューバとハイチの友情が表われていて、胸が熱くなります。

16分あたりで登場する、エメランチ・デ・プラジンが踊る脇で演奏する太鼓の叩き手がまたすごい。
トーキング・ドラムなみの高低音を叩き出してるんですが、これってチローロじゃないのかなあ。
チローロならテロップが出ないのは不可解ですが、編集時に見落としたのかしらん。
ちなみに、ジョー・トルジョーがライス盤の『ベスト・オヴ・チローロ』を片手に
チローロを紹介するくだりは、日本人としてちょっと誇らしい気持ちになりますね。

そして映像はなく曲のみフィーチャーされるのが、ピアニストのファブレ・デュロソー、
ギタリストのフランツ・カシュー、女性歌手のロリータ・クエバス。
重要ミュージシャンはもれなく登場していて、構成にはまったくスキがありません。
名門クラブのキャバンヌ・シュクーヌで踊る大勢のカップルの映像や、
ヴードゥーの儀式、ララのパレードなどのアーカイヴ映像、
さらにはキューバのサンティアーゴ・デ・クーバへも取材していて、
これほど内容の濃い音楽史ドキュメンタリーはめったにないでしょう。

仏・英・西の字幕があるのも、英語以外ダメなぼくには助かります。
これを観れば、コンパ以前のハイチ音楽の豊かさに圧倒されることウケアイです。

[DVD] "MAESTRO ISSA : Un Film de Frantz Voltaire" Productions CIDIHCA MRDV2017 (2009)
コメント(3) 

コメント 3

土木作業員

な、な、何なんですかー!コレは!?読んでてこっちまで興奮しちゃいました。即入荷キボンヌ。早く見たい!
by 土木作業員 (2010-05-16 00:29) 

bunboni

はい。輸入盤ショップやバイヤーのみなさま、入荷ヨロシクです。
by bunboni (2010-05-16 00:39) 

繁盛亭アルバイテン

うわぁ、これは観たい! 絶対に観たいです!
こんな時間に、この欲求! bunboniさん、どうしてくれるんですかー(笑)。
by 繁盛亭アルバイテン (2010-05-16 04:16) 

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