クレオール・コネクション マリアーナ・ラモス [西アフリカ]
マリアーナ・ラモスの新作は、ポルトガル語圏とフランス語圏のクレオール音楽がブレンドした、
薫り高さを味わえるアルバムとなっています。
マリアーナ・ラモスはセネガルのダカールで生まれ、カーボ・ヴェルデの祖母に預けられて育ち、
のちに両親が暮らすフランスへ渡った女性歌手。
お父さんはヴォス・デ・カーボ・ヴェルデのギタリスト、トイ・ラモスです。
04年のセカンド“BÍBÍA” がお気に入りで、よく聴いたものですが、
この新作では、さらにハイ・クオリティなクレオール・ポップを聞かせてくれます。
コラデイラ、フナナー、バトゥク、マズルカなど島の多彩な音楽を、
アクースティックなアレンジで調理しているんですけど、
そのサウンドのはしはしから、フレンチ・カリブのセンスが感じられるんですね。
それもそのはず、バックを務めているのは、カーボ・ヴェルデのミュージシャンのほか、
グアドループ出身のベーシスト、ティエリー・ファンファンなどのフレンチ・カリブ系ミュージシャンほか、
パリに集うクレオール・コネクションとでもいうべきメンバーたち。
マダガスカル出身のアコーディオン奏者レジス・ジザヴもいます。
そのせいか、島の泣き節モルナをやっても、泣きの部分が和らぎ、
哀切の表現にふくよかさがあります。
コラデイラやフナナーなどの曲でも、カーボ・ヴェルデの伝統をベースにしつつ、
サウンドの肌触りはクレオール・ポップなセンスに富んでいて、カラフルですね。
レジス・ジザヴのアコーディオンがカクシ味として利いているほか、
弦アンサンブルやホーンもすべて生音という贅沢さがたまりません。
ゲストの歌手として同郷のジョルジ・ウンベルトのほか、アンジェリク・キジョも参加していますよ。
カーボ・ヴェルデのソダージ感覚は抑えめに、
ポルトガル語、フランス語、クレオール語で歌うマリアーナの歌い口はとてもさわやか。
ルーラといい、マリアーナ・ラモスといい、カーボ・ヴェルデ新世代は、
歌・プロダクションともにアマチュアぽさが拭えなかったセザリア・エヴォーラ世代を
完全に乗り越えた感がありますね。
カーボ・ヴェルデとフレンチ・カリブの出会いが、さらにクレオール音楽を豊かにすることを、
マリアーナ・ラモスの新作が証明したのでした。
Mariana Ramos "SUAVIDANCA" Casa Verde Productions 56253-2 (2010)
Mariana Ramos "BÍBÍA" Cap-Vert «Le Petit Pays» Et Do Soul 09406-2 (2004)
2011-05-25 00:00
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