土埃舞うツァピキ ダミリ [インド洋]
ツァピキはマダガスカル南西部の冠婚葬祭で演奏される伝統音楽。
マルヴァニ(箱琴)、ロカンガ(フィドル)などの弦楽器とアコーディオンで演奏されますが、
80年代半ばに南西部の街チュレアールでエレキ化されてポピュラー化し、
中央の首都アンタナナリヴにも伝わるようになりました。
地元ではカセットやCDも出ていますが、欧米リリースのCDとしてはコンピレがある程度で、
単独アルバムを出しているのは、このダミリぐらいじゃないでしょうか。
ギタリストの名前がグループ名にもなっているダミリは、5人編成のギター・バンド。
はじけるような細分化されたビートで、きぜわしく疾走するツァピキを痛快に聞かせます。
痙攣するような独特のツー・フィンガー・ピッキングと、
16分音符を多用したウネりまくるベースが聴きどころで、
コンゴのルンバ・ロック、南アのンバカンガやマスカンダの影響をうかがわせる、
タテノリのロック・ビートが特徴といえます。
メンバー各人の作った曲をそれぞれが歌っていて、
ハイトーンのぶっきらぼうな女声がひときわ印象的です。
08年の初CDはエレキ・ギター中心のクリーンなサウンドでしたが、
新作ではアクースティック・ギターをメインに据え、ツァピキの土臭さが強調されるようになりました。
辺鄙な農村地帯のギター・バンドといった雰囲気のツァピキは、
ザンビア周辺国で演奏されるカリンドゥラといい勝負の粗野なローカル・サウンドで、
クラムド・ディスクのヴィンセント・ケニスさんが聴いたら喜ぶかも。
曲が単調なわりには尺が長いので、ずっと聴いているとやや飽きもしますが、
基本はダンス・ミュージックなので、夜通しのパーティではこうじゃなきゃ通用しないんでしょう。
土埃舞うワイルドでトランシーなツァピキの魅力は、新作でさらに増したといえます。
【お断り】 当初この記事は「ツァピク」と書いていましたが、
その後「ツァピキ」が一般的な読み方と判明したため、タイトル・本文を修正しています。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-06-07
Damily "RAVINAHITSY" Hélico HWB58004 (2008)
Damily "ELA LIA" Hélico HWB58120 (2011)
2011-06-28 00:00
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