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エデンの園のリズム ヒンド [中東・マグレブ]

Hind 2012.JPG

アラビアン・ポップス新潮流のハリージ、もう飽きたとかいってたんですけど、
モロッコやレバノンの歌手が歌うハリージばっかり聴いていて、
伝統ハリージの本場である湾岸諸国産のハリージを聴いてないってのも、片手落ち。
そんなことを思ってたところにタイミングよく、ヒンドというバーレーンの女性歌手と出会えました。

湾岸ポップスというと、サウジ・アラビア、クウェート、
アラブ首長国連邦といった国々の歌手が思い浮かびますけど、
ペルシャ湾西岸に浮かぶ大小さまざまな島国バーレーンの歌手を聴くのは、この人が初めてです。
地元バーレーンで00年にリリースしたデビュー作がヒットし、05年にロターナへ移籍した人なんですって。

ぼくの好きなタイプのせつな系シンガーで、あえぐようなこぶし使いと若々しさあふれる色香が♡
歌いぶりが初々しくって、凄んで力むところもまたカワイイんです。
ハリージのひっかかるような三連リズムが耳残りしますが、メロディとリズムがぴたりと寄り添い、
ぎくしゃくとしたビートにあわせたこぶし回しなど、スムーズにリズムへのっていることがよくわかります。

ハリージ作のなかでも話題を呼んだモロッコのシンガー、
モナ・アマルシャのアルバムを聴いていて、どうにも解せなかったのが、
ベースとなっているリズムとかみ合わないハリージの三連リズムでした。
メロディの持つリズムがハリージのアクセントと遊離していて、
なんでこのメロディでこのリズムなんだよと、イライラしてしょうがありませんでした。
そのミス・マッチングがかっこよくも聞こえるという困ったアルバムなんですけど、
リミックス・トラックのような不自然さが、どうしても拭えません。

なめらかにリズムへのるヒンドの歌いぶりを聴いて、
これがハリージ本来の姿なんじゃないかとようやく思えました。
というのも、90年代の湾岸ポップスでさんざん親しんだメロディやリズムが登場し、
過去の湾岸ポップスとの連続性がはっきりと聴き取れるからです。
突然変異的に登場したモロッコやレバノンの歌手が歌うハリージ・アルバムには、
こういうところがないんですよね。
湾岸ポップスに特徴的だったパーカッシヴなサウンドを、
アップグレイドしたプロダクションで聴かせるのが現在のハリージであることが、
ヒンドの本作を聴くと素直に理解できます。

バーレーン島の北部にはオアシスがあり、そこがエデンの園だったという説があるそうです。
エデンはアルメニアの近くにあったとするのが定説ですけれど、
紀元前6000年頃は海面はもっと低かったので、
現在は海となっているペルシャ湾にあったとする説もまんざらじゃありません。
ハリージはエデンの園のリズムか、な~んてね。

Hind "2012" Rotana CDROT1814 (2012)
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