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トゥアレグの祖先に捧ぐ アルフセイニ・アニヴォラ [西アフリカ]

Alhousseini Anivolla  Anewal.JPG

のびのびと両手を広げたその奥に広がるサバンナ。
ワーダベ人とトゥアレグ人の混成グループ、エトラン・フィナタワのギタリストでシンガーの
アルフセイニ・アニヴォラの初ソロ作を、ここのところ毎日聴いています。
はじめは、えらく地味なアルバムだなあという第一印象だったんですけれど、
なぜか後を引くというか、何度も手を伸ばしたくなる魅力があり、
聴き返すほどに味わいの増すスルメ盤なんですよ、これが。

エトラン・フィナタワは、ティナリウェンのようなブルージーな感覚が薄く、
カラッと明るい表情が持ち味のバンドですが、アルフセイニ・アニヴォラのこのアルバムは、
いわゆるイシュマル・スタイルと呼ばれるデザート・ブルース・ギターをメインに据えたもの。
ギターのほかパーカッションもすべてアルフセイニが演奏した完全ソロ・アルバムで、
地味なシブい内容のアルバムとなっています。

前半がエレキ・ギター、後半がアクースティック・ギターという変化があるくらいで、
全編を通して、シンプルなフレーズを延々とループするギターを弾き歌うだけの内容。
言ってしまえばそれだけなんですけど、これが実に味わい深くって、胸に染み入るんです。
どの曲のテンポもほとんど同じ、それでいてこれだけ聴く者を引き付ける魅力は、
アルフセイニの歌に深みがあるからですね。歌い口はソフトでも、説得力があります。

アルフセイニの祖父の名前をタイトルに据えた本作、
トゥアレグの祖先とトゥアレグ人コミュニティについて歌われた曲が並ぶとおり、
アルフセイニのルーツへのこだわりが強く出た作品となっています。
ワーダベ人メンバーの個性が強く出たエトラン・フィナタワの明るさとは、
まったく異なる個性を示してみせたのが、このアルバムといえるのかもしれません。

アルバム最後に、それまでとは趣向を変えたサウンドの曲を
ボーナス・トラックとしたところがオツなんですね。
イントロとエンディングに自然音をコラージュし、
アンビエントぽいシンセが控え目に鳴らされるというもの。
マレボ・モテマという南アの女性シンガーをゲストに迎え、アルフセイニとデュエットをしています。
ずっと墨絵調だったところに、最後に淡い色でさらりと描いた淡彩画で締めくくったことで、
アルバムの聴後感がすごく良いものにしているんですね。
このせいで、また繰り返し聴きたくなってしまうというわけです。

Alhousseini Anivolla "ANEWAL : THE WALKING MAN" Riverboat TUGCD1067 (2012)
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