タイ式風俗歌謡ロック・ショー チャ・カンヌー [東南アジア]
カーオティップ・ティダーディンの新作以上に、インリー・シーチュムポンへ入れ込んでしまい、
珍しくもベタな歌謡ロック・サウンドに盛り上がっている今日この頃。
ベタな音楽でふと思い出したのが、あまりに下品なエロぶりに、
1回聞いただけで投げ出したルークトゥンの新人チャ・カンヌー。
歌の途中で、あからさまなあえぎ声が飛び出す曲があるんですよ、これ。
上の部屋の娘に聞こえたら、どーすんだよと、あわててヴォリューム下げましたからね。
その後、レコオヤジさんがブログに「気になるジャケ」とこのCDの写真を載せているのを見つけ、
なるほど、こりゃ確かにレコオヤジさん向き、お譲りしようかなと思って、
もう一度聴いてみたら、あら、不思議。印象が一変。
徹底したエンタメ根性が清々しく思え、すっかり気に入ってしまいました。
インリーのベタな歌謡ロック・サウンドを、ヘヴィー・ローテーションにしていた効果ってわけです。
このCDにはオマケでVCDも付いていて、これがまた強烈。
ショー・パブのフロア・ショーよろしく、ビキニのお姉さん十数名と一緒に踊りまくるエロ・ダンス。
うへぇ、下品、と萎えるか、うひょーと盛り上がるかは、こちらの体調次第(?)という感じもしますが、
イロモノ・シンガーに徹したチャのプロ根性に感服いたしました。
このアルバムのライヴDVDも出ていると聞いてがぜん興味が湧き、
ついでにデビュー作も一緒にオーダー。
すごいよー、このライヴ。中身はカヴァーを見ての通りなんだけど、
デビューしてまもない新人とは思えない、堂々たるパフォーマンス。
キレのいいエロティックなダンスに、男前なMC、
客あしらいも昨日今日この世界に入ったわけではないだろう、板に付いたもの。
客をステージに上げてダンスをさせてみたり
コンドームを取り出し、風船のようにふくらませたりと、やりたい放題。
スローなルークトゥンでは、踊りまくったあとで息も上がってしまい、
歌いぶりが少々不安定になるところもナマナマしく、その臨場感に引き込まれます。
男女の性欲を戯画化するかのような歌謡ロック・ショーぶりは、
どこまでも淫靡な風俗営業そのもので、飛び散る汗とむせ返る体臭に圧倒されるばかり。
キャッチ・バーの極悪ホステスみたいなセカンドに比べ、
デビュー作は、入店したばかりのニュー・フェイス風なあどけなさで写っていますが、
どちらも同じ今年の作。バカバカしいまでのアゲアゲ・サウンドにユーロビートな音づくりは、
かえって毒々しさがアク抜きされているかのようで、不思議と耳ざわりじゃありません。
こちらにも例のあえぎ声入りの“Kun Hoo” が入っていて、
なるほどこれが、チャのテーマソングになっているわけですね。
お下劣を芸にしたといえば、インドネシア、ダンドゥットのイヌル・ダラティスタが看板とした
ドリル腰でしたけど、チャ・カンヌーのあえぎ芸はその上をいくかも。
下品も突き抜ければこの境地まで達するというか、性根の座ったプロ魂に完敗です。
[CD+VCD] Ja Kunhoo "NOO AOW YOO" EVS Music EVS3-0541 (2012)
[DVD] Ja Kunhoo "CONCERT : NOO AOW YOO" EVS Music EVR3-0049 (2012)
Ja Kunhoo "NOO CHOB RAD" Krung Thai KTD371 (2012)
2012-11-25 00:00
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