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ワールドワイドなブームへのエチオピアからの回答 ジャノ

Jano  Ertale.JPG

ボストン、アトランタ、パリ、ジュネーヴ、メルボルンなど、
世界同時多発的に産声をあげてきた非エチオピア人によるエチオピアン・バンドに応えて、
ついにエチオピアからの回答、もしくは挑戦と呼ぶべきバンドが登場しました。
それがエチオピア初といえる本格的なロック・バンド、ジャノです。
メンバーはツイン・ギター、ツイン・キーボード、ベース、ドラムスに4人のシンガーからなる10人。
このデビュー作は、エチオピアで今年1月1日にリリースされました。

エチオピア現地の貧弱なプロダクションで、
どこまで世界標準のロック・サウンドに迫れるかと聴く前は心配もしましたが、
オルタナ・ロック・ファンにも十分アピールする、痛快なアルバムに仕上がっています。
それもそのはず、なんとプロデュースはビル・ラズウェルがやっているんですね。

アディス・アベバのアバガス・シオタ・スタジオでレコーディングされ、
ニュー・ジャージーでゲスト・ミュージシャンの録音を重ね、
ニュー・ヨークでマスタリングされています。
ゲストにはラウンジ・リザーズやセックス・モブの活動で知られる
トランペッターのスティーヴン・バーンスタインや、サックスのピーター・アプフェルバウムなど、
かつてNYダウンタウン派と呼ばれたミュージシャンたちが顔を並べています。

デビュー作にしては出来すぎともいえる安定感のあるサウンドで、
もっとヤブれたところがあってもいいかもと、ぜいたくな感想が浮かびましたけど、
ビル・ラズウェルが手がけただけのことはありますね。
ところが、このアルバムのホントの立役者はラズウェルではなく、
エグゼクティヴ・プロデューサとしてクレジットされているアディス・ゲセセの方なのです。

実はジャノは、アディス・ゲセセが行ったオーディションによって、
25人以上のミュージシャンの中から選抜されて作られたバンドだったのでした。
このデビュー作は、ビル・ラズウェルと2ヶ月にわたるリハーサルを経て制作したのだとか。
本作制作のため四方八方にかけあって支援を取り付け、資金の目処をつけたとのこと。
真の仕掛け人はアディス・ゲセセだったというわけです。

アディスはシカゴの大学を卒業後、アメリカで音楽ビジネスの仕事につき、
フィル・コリンズやEW&Fとのマネジメントを通じて、人脈を作ってきたようです。
エチオピア帰国後、ジジやテディ・アフロのマネージャーとして名をあげ、
ビル・ラズウェルにジジを紹介したのも、なんとアディスだったのだとか。
それが縁でラズウェルとジジは結婚までするのだから、へーえ、ですね。
アディスはジャノに続いて、ジャニニティーズという9人組のガールズ・グループを
世に送り出す次のプロジェクトに取り掛かっているとのことで、これまた楽しみ。

自然発生的な非エチオピア人バンドのムーヴメントに対し、現地エチオピアのロック・バンドが、
音楽ビジネスに精通したマネジメントのもとに生まれたことは、心強く思えますね。
ロック・シーンの存在しないエチオピアで自然発生的にバンドが生まれたとて、
一発屋で終わりかねないですもんねえ。現地の音楽産業じたいが貧弱ですから。
現在のアフリカン・ポップの最大のウィーク・ポイントが、プロのマネジメントの不在にあるので、
アディス・ゲセセの仕事ぶりには期待が寄せられます。

Jano "ERTALE" Trio Entertainment no number (2013)
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