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声楽エリートが歌う民歌 アン・トー [東南アジア]

Anh Tho  LOI VE.jpg

やっとこの人の歌を、素直に楽しむことができました。
76年生まれ、ヴェトナム北部タインホア出身のアン・トー。
ハノイ国立音楽院在学中から数多くの音楽賞を取ったという、民歌系女性シンガーです。

2年前のヴェトナム旅行で、この人のCDを3枚買ってきたんですけど、
ソプラノの美声をこれでもか!と強調する歌い方に、ヘキエキとしてしまったんですよねえ。
ぼくの苦手とする、声楽を勉強した人にありがちなタイプで、
「あなたの歌がうまいのは、よ~っく、わかりましたっ!」と、
早々に3枚とも手放してしまいました。

そんな思い出もあったので、あまり期待もせず試聴した新作でしたけど、
今度はいいですね。力を抜いてさらっと歌うことを覚えたようで、
ソプラノ・ヴォイスの声も張り上げすぎず、抑制を利かせた発声を心がけています。
こういう歌いぶりなら、美声のファルセットも映えますよ。

それにしても、ウマいもんですねえ。
地声からファルセット、ファルセットから地声への転換が実にスムーズで、
自在に行き来する高度な技にウナらされます。
そして地声のパートで聞かせる、鼻に抜ける細かなこぶし使いの技量も圧巻です。

そもそも民歌を歌うのに、こんなにテクニカルな必要があんのか?という疑問もありますけど、
今作を聴いて、この人なりに音楽院で身に付けたヴォーカル表現を昇華させ、
コンテンポラリーな民歌を模索しているように思えます。

ヴォーカル・テクニックを駆使した抒情歌謡。こういうのもありでしょう。

Anh Thơ "LỐI VỀ" Vien Lộc no number (2012)
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